大阪←→丹波の通勤スタイルで叶える!福西啓介さんの暮らしと子育て

大阪のオフィスで働いているときの様子

大阪のオフィスで働いているときの様子

福西 啓介さん

大阪生まれ大阪育ちの福西啓介さん。土に触れたり、森の中で泥だらけになって遊んだり……そのような遊び方は、ご自身もされたことがなかったと言います。憧れだった森での子育てを叶えた原動力と、福西さんならではのライフスタイルについて伺いました。

済木麻子(以下麻):おはようございます!今日はよく降りましたね。
福西啓介さん(以下福):おはようございます。予想通りですね(笑)。
麻:福西さんとはご近所ということもあり、以前からお世話になっているのですが、丹波に来られたのが…6年くらい前?
福:7年目に入りましたね。
麻:そしたら、上のお子さんが幼稚園くらいの年ですね。それまでは、都会で子育てをされていたんですか?
福:そうですね、都会のマンションみたいなところに住んでいました。ご近所づきあいもあまりないようなところで、公園に行くまでの道にも車がたくさん通って危ないなと思ったり。子どもが自由に遊べるような環境を作るのが、なかなか難しかったです。
麻:今の環境とはずいぶん違いますね。
福:今の家では、家の前に広がる田園風景の中、子どもたちが自由に走り回ったり自転車で遊んだりしています。子どもたちのその姿を見ると、本当に来てよかったなって思えるんです。子どもを土に触れさせて育てたい、泥遊びさせたいっていう気持ちがあって、それは自分もしてこなかったことなので、その分あこがれもあって。

スタッフとして活動している「あそびの学校」。土手で野草を摘んでいる様子

スタッフとして活動している「あそびの学校」。土手で野草を摘んでいる様子

麻:今のお家には、すぐに巡り会えましたか?
福:僕は会社が大阪にあるので、はじめは丹波ではなく、比較的通勤しやすい地区などで探していましたが、自分が理想とするような古民家や、丁度いい広さの物件に出会えなかったんです。4年くらい探していて、諦めかけていた時に、野遊び研究家のマリオさんに出会って。マリオさんに、丹波の人をいろいろと紹介してもらううちに、「丹波もアリだなあ」と思って。その中で、今の家にも出会い、広さも環境も理想的だと思ったんです。
麻:丹波から大阪への通勤に、不安はありましたか?
福:もちろん、ここから通勤できるのかっていうのはありました。青垣町に、家を1軒、1週間貸してもらって田舎暮らし体験ができるところがあるんです。そこで1週間住んで通勤してみました。その結果、「慣れたらいけるんちゃうかな」と思って。
麻:実際6年以上通勤してこられて、どうですか?
福:通勤時間は片道2時間15分なんですけど、その中の1時間は、電車で確実に座って通勤できるんです。逆に言うと1時間、自由な時間が行きと帰りにできるということで、寝たり、本を読んだり、仕事をしたりもできるし、とても贅沢な時間だと感じています。それに大阪から篠山まで電車に乗るときは、風景が移り変わっていくし、電車のドアが開くたびに気温も違ってきたりして(笑)。毎日プチ旅行しているような気分で楽しく通勤できています。終電も意外と遅くまであるし、丹波から大阪の通勤って意外とできますよ。
麻:通勤時の風景や時間の使い方を楽しめたら、良い時間になりそうですね。
福:そうですね。だから、「定年したらこういうところに住みたい」という話を良く聞くのですが、そういう人は今来たら良いと思うんです。「定年したら」というのは、将来の希望ですけど、その時には違うことを思っているかもしれないし。今そう思っている人は、今来るべきやなあと思います。
麻:それでも、実際移住するとなると、そこがどんな場所か分からない、という不安もあるでしょうね。
福:移住するのってそこが一番ネックで、どんな場所かも分からないし、知り合いもいないし。でもある程度そういう覚悟はしてきたんです。移住してからはいろんな役を引き受けたり、イベントもいっぱい出たりして地元になじむ努力は一応、しました。日役(自治会の各世帯代表で、地域内の清掃や草刈りなどを行う業務。年数回)も、そういうものがあるということはネットなどで調べて知っていたんで、そういうものだと思っていたので却って新鮮で、楽しくできました。
麻:草刈りや溝掃除などは、都会に住んでいたらあまりしないですよね。
福:そう、だから草刈り機や道具の使い方も分からない。僕の場合は地元の人に使い方を聞きに行ってたんですけど、後になって地元の人から「聞きに来てくれてよかった」と言われました。聞きに行った方が、地元の人も言いやすいし、それをきっかけに地元の人がうちの事を気にかけてくれるようにもなるし。地元に出ていくことでより、地元の人に受け入れられやすいんだと分かりました。
麻:地元になじむ努力や、長距離通勤をしながらも、「子どもを土に触れさせて育てたい」という想いを持ってらしたということですが、実際にこちらで子育てをしてみてどうですか?
福:さっきも話した、野遊び研究家のマリオさんがいる近くで子育てをできるということが幸せだと思っています。マリオさんがされている「あそびの学校」(森や里山で遊びを楽しむ学びの場。春日町の「こどもの森」で毎月開催される)にもスタッフとして携わることになって、森で遊ぶ機会も増えました。

あそびの学校を主宰する、大路未来会議のメンバーたちと。遊びに必要なデッキも手づくりしました。

あそびの学校を主宰する、大路未来会議のメンバーたちと。遊びに必要なデッキも手づくりしました。

麻:「あそびの学校」には、お子さんと一緒に参加もされているんですよね。
福:そうですね。10歳、6歳の子と一緒に参加しています。特に上の子は、里山の中で年上の子どもたちと一緒に、秘密基地を作って遊んだりしています。遊び方を教えなくても子ども同士で遊びをどんどん見つけたり、創り出したりしている姿を見て、これは成功だなと。

麻:森の中ならではの成長ですね。
野草を食べようというプログラムで。野草料理を楽しむ福西さん

野草を食べようというプログラムで。野草料理を楽しむ福西さん

野草を食べようというプログラムで。タンポポの天ぷら

野草を食べようというプログラムで。タンポポの天ぷら

福:それに、小さい時に森で遊んだ、楽しい遊びをした記憶はきっと残りますよね。それが大きくなって一度都会に出ることがあっても、楽しい記憶を思い出したら戻ってきたくなるものだと思います。長期的にはそんな目的もあって、小さいうちから土に、森に触れさせたいという想いからあそびの学校をやっています。

麻:子どもたちだけでなく、福西さん自身も、土に触れる生活を送っていらっしゃいますね。
福:自分たちが食べる分の野菜は自分たちで、畑で作ろうと思い試行錯誤で行っています。一昨年からは米作りにも挑戦しました。移住してきて、農業用の機械も持っていませんでしたが、その中でなんとか挑戦できないかなと思って。ご近所の方に、田植えを手伝っていただいたり、天日干しをする稲木を組んでいただいたり、アドバイスをいただいたりもしながらの挑戦でした。ご近所の方にコンバインやもみすりなどの機械も貸していただきました。稲刈りなどは手で、時間をかけて行いました。
麻:それは大変そうですね!
福:でも、子どもたちも時々手伝ってくれたり、周りで遊んでいたりして、お父さんお母さんががんばってお米を作ってくれた、というのを見てくれているように思います。農作業をしてみたいなと思ったら、農地を借りるのには困ることないんですよ。使っていない農地とか、手入れしてくれるならありがたいって思ってもらえることも多いし。
麻:たくさんのことに挑戦されてますね!さらに、福西さんは丹波でも副業をされているんですよね。
福:コーヒーの事ですね。コーヒーは、元々は都会にいたころ、僕の祖父が毎朝インスタントコーヒーを飲んでいたので、それを入れてあげようと思ったのがきっかけです。最初はインスタントでしたが、近所に焙煎屋さんがあったのでせっかくならそこで買って、ドリップして飲もうか……、というところから、焙煎も自分でした方が安いんじゃないかなとか思って、ざるをつかって焙煎してみたりして。そうやって飲んだコーヒーは結構おいしいし、周りの人にも飲ませてあげたら喜ぶし。そうしているうちに、大路週末バル(2014年、春日町大路地区の有志によって週末開かれていたバル。地元の素材などを使った料理、飲み物が提供された)や、キャリー焼菓子店などにも、「コーヒー出してみませんか」というお話をいただいたりして。
麻:まさに、流れるように!
福:そう、やっていったらどんどん話が進んでいって。
麻:さっきからお話を伺っていたら、家のことと言い、お仕事のことといい、本当に機運をつかむのがお上手ですよね。
福:楽しく暮らしていきたいなっていうのが、メインなんです。楽しいこと、こうなったらいいなということを考えていたら、タイミングよくポンとチャンスが入ってくる。やりたいなっていうのを毎日思っていることが大切だと思います。
麻:本当、毎日の暮らしを楽しむこと、こうなったらいいなとわくわくし続けることが、福西さんのチャレンジの原動力なのかなと思います。
 

 

【TURN WORDS】

「子どもを土に触れさせて育てたい」
そんな想いを描いてきた福西さん。後押しする出会いにも恵まれ、子育てだけでなく、仕事も、地域活動もすべて丸ごと楽しんでいるバイタリティはまぶしいほど。素直に想いを話す姿勢が多くの人に受け入れられ、そのことがさらに彼を応援する力にもなっていく。流れるように、思うように、描いたビジョンを叶えていく福西さんの姿勢に、周りの人が学ぶことは多い。

 

FUKUNISHI PRINT COFFEEblog:http://ameblo.jp/kaesia/

 

interview / writing:伊藤由起