移住者インタビュー

Vol.14 / 2016.03.29

女性たちに新しいライフスタイルを提案!セレクトショップを営む竹内紀美子さんに学ぶ

竹内紀美子さん

ハピネスマーケットに出展した際の紀美子さん

竹内 紀美子さん

丹波市柏原町生まれの柏原町育ち。3年前に自社ビルにて、アンティーク・セレクトショップ三光堂をオープン。はじめは家業を手伝うためにUターンしたと語る彼女が、好きな仕事を始めるに至った経緯とは。

麻子(以下麻):こんにちは。今日はよろしくお願いします。
竹内紀美子さん(以下紀):こんにちは!ちょうど昨日、買い付け旅行から帰ってきたばかりで、新しいお洋服などをディスプレイしていたところです。
麻:素敵ですね!買い付けはどちらに行かれたのですか?
紀:今回は韓国に。ワンピースなどはフランスに買い付けに行っています。
麻:こちらのショップがオープンして3年ということですが……
紀:そうなんです。私が子どもの頃はここの建物で、親が電気屋さんを営んでいました。その時は、柏原町の商店街も、今以上ににぎわっていたんですよ。
麻:柏原町生まれの、柏原町育ちなんですね。
紀:通っていた学校も、高校までずっと柏原町内で。だからこそ、「一度外の世界が見てみたい」という気持ちが芽生えてきて、進学を機に都会に出てみました。大学時代は西宮市に住んで、卒業後は大阪で就職し、OL生活をしていました。都会に実際に出てみると、思い描いていた生活と実際は違うものだなと感じることもありましたが、楽しく生活していました。
麻:それが、どういったきっかけで丹波に戻ってこられたのですか?
紀:私は、電気屋さんで三姉妹の長女として生まれました。家族としては、私に家業を手伝ってほしかったようです。そういう経緯もあり、結婚を機に丹波に帰ってきました。
麻:丹波に帰ってきてからの生活はどうでしたか?
紀:はじめのうちは家業もあり、子育てもありで必死に過ぎていった感じがしています。たまに大阪でOLをしていたころの友人に会ったりすると、まだ仕事を続けている彼女たちがまぶしく見えて、「私の選択、これでよかったのかな」「私って何なんだろう」という気持ちになることもありました。
麻:そんな気持ちになるときは、どうしていたのですか?
紀:気分転換に、よく娘を連れて神戸の雑貨屋さんめぐりをしていました。今思えばその頃から、雑貨が何となく好きだったのですね。そしてある雑貨屋さんで、クリエイターの方が作られた素敵なアクセサリーに出会いました。その時に、「私は、母親である前に、妻である前に女性なんだ。ちゃんとしよう」と思ったんです。買ったアクセサリーを付けて、娘の学校行事などに行くと、「素敵」とほめてもらえることがあって、そういうことも嬉しくて。
麻:その頃から、雑貨屋さんやセレクトショップをしたいという夢が?
紀:いえ、それは全然(笑)。ここをオープンすることになった直接のきっかけは、ハピネスマーケットでした。私もハピネスマーケットの立ち上げメンバーでしたが、メンバーの中に、柏原町のまちづくりに長年かかわっていらっしゃる方がいて、その方が「雑貨屋さんに出店してもらいたい」と言われたんです。それではじめは、何軒かの雑貨屋さんにお願いをしに行きました。でも、人員の関係やお店の都合上、当時出店できる雑貨屋さんに巡り会えなくて。それで、「私が自分で、好きなアンティークの雑貨を出してみたらどうかな」と考えたんです。

麻:実際にハピネスマーケットに出店されてみて、どうでしたか?
紀:とてもいいきっかけになりました。ハピネスマーケットに出す事で、ファンになってくれるお客さまがついてくださったんです。「お店も開いてほしい」というお声もいただき、ちょうど空いていた自社ビルもあったので、「じゃあ、ここでお店を始めてみようかな」という決心がつきました。2013年の5月に「お店を始めよう」と決めて、その年の11月にはもうオープンしました。
麻:早いですね!
紀:決めたら、本当にすぐに事が運んで。自分の中で無理のない予算を立てて、その予算で改装してくれる業者さんを探しました。1年目は仕入れる雑貨も少しだけでしたが、「自分のこだわりからズレない」ことを大切に選んできました。私が「ちゃんとしよう」と思うきっかけになったクリエイターさんのアクセサリーも置くことができましたし、ほかに置いてある雑貨も、私が本当にいいと思っているもの、使ってみて良かったものばかりです。「田舎に住んでいるけど、お洒落な暮らしがしたい」と思っている女性や、「お洒落な空間で良質な美味しいものを食べたい」と思っている女性をターゲットにしています。
麻:扱われているアパレル用品も、竹内さんが実際にお召しになっているものとテイストが似ていますね。
紀:服は、はじめは置いていませんでした。オープンしてから、お客さまに「あなたが着ているような服を置いてほしい」と言っていただけたことがきっかけです。モノトーンの服が中心ですが、ワンピースなどは様々なシチュエーションで着ていただけるようにカラフルなものも置くようにしています。あと、カウンターでコーヒーをお出ししているのですが、これもお客さまの声から始めたことです。接客の中でお話していた子育ての話などを「ゆっくり聞きたい、自分も相談したい」と言われて。そういうお声をいただいたことの中で、自分でも「いいな」と思ったことは形にしていっています。
麻:夢や構想をどんどん形にされているんですね!
紀:自分の好きなことを仕事にしているから、いくらでも頑張れるように感じています。経営をするのは、大変なこともありますが、しんどいことも楽しむことができたら続けられると思います。無理に大きくしようとするのではなく、今はまず1年1年をしっかり積み重ねていこうと思っています。

 

【TURN WORDS】

「私は、母親である前に、妻である前に女性なんだ。ちゃんとしよう」
女性のライフスタイルが多様化し、女性が自由になったといわれる。しかし彼女たちは時折、選ばなかったもう一つの人生を未練として引きずってしまうことがある。ジレンマを抱える多くの女性に、竹内さんの選択や歩み、語られる言葉はしっとりとしみこむ。流れるように好きな仕事を始めた竹内さんの姿は、多くの女性に新しい「ここならでは」のライフスタイルを提案し続ける。

 

アンティーク&セレクトショップ三光堂

所在地:兵庫県 丹波市柏原町柏原16 2F
お問合せ先
Tel:0795-71-1145
URL:http://sankoudoutamba.com/
Facebook:https://www.facebook.com/sankoudoutamba
営業時間:10:00~ 18:00
定休日:火、水曜日
イベント期間、年末年始等のイレギュラー営業について、お問合せ下さい。
mailto:sankoudou16@gmail.com

 

interview / writing:済木麻子