移住者インタビュー

Vol.6 / 2015.11.26

丹波×テレワーク×ライター

済木 麻子さん

 

済木 麻子さん

丹波市に住み、テレワーカーのスタイルでライター業をこなす済木麻子さん

デザイン、ライティング、編集などは、出版社や企業の多い「都会でしかできない仕事」と思われがちですが、地域に注目が集まる今、情報発信を担う人材が求められています。
とはいえ、都市部ほど仕事が多いわけではない地方のこと。地方ならではの働き方、テレワークを活用する女性を取材しました。

丹波市へはご主人の実家へ里帰りIターンでやってきた済木麻子さん。自分のペースで仕事ができるテレワークを活用しライターとして地域情報の発信に関わっています。

恒松(以下、ツネ):丹波でライターとして活動をはじめたきっかけは?
麻子さん(以下、麻):もともとライターの仕事をしていたわけではないのです。丹波で未経験からのスタートでした。本を読むことや文章を書くことが好きで、何か文章をまとめるような仕事ができたらいいなぁと思っていたくらいで。ただ、そうは思うものの、そういった職業って、下積みとか実績が必要だったり、徹夜仕事といったイメージもあって(笑)、家庭をもつ私にはハードルが高いように思っていたのです。
漠然とした憧れが仕事として実現したのは2年前のこと。丹波の魅力を発信する冊子「tocco.」を制作する市内のデザイン会社さんからのお声がけでした。
そのきっかけも田舎らしいなぁと思うのですが、子供が通う小学校の学校だよりのようなものに「地域情報を発信してみませんか?」という告知が載っていて問い合わせたことが始まりです。問い合わせたことで、済木さんっていう人がライターをやりたいらしいという情報がクチコミで伝わって、tocco.制作の際にお声がけいただきました。

tocco.制作仲間。一人で行くこともあれば、チームで取材に赴くことも。
在宅執筆だけでない、チームでの取材仕事は楽しい時間でもある。

ツネ:ライターとしての働き方を教えてください
麻:基本的に常勤ではなく仕事の依頼を受けて活動するテレワークで、仕事の多くはインタビュー取材です。初仕事となったtocco.は、これまでに4号発行されていますが、そこでは丹波で丁寧な暮らしを営む女性たちを取材しています。

2015年10月までに4号発行されたtocco.では、メインライターとして活躍。

ほかにも丹波市内の農林業の現場やそこに携わる人々を取材したり、丹波で起業した人やお店を取材したり…。直接赴く取材以外にも、音声記録を記事に起こすことや、商品の紹介記事の執筆などもやります。
編集部員とともに取材に行くこともあれば、取材のアポイントから原稿チェックまでの一通りを一人でこなすこと、コーナーを持たせていただいて取材先の企画提案から行うものまで、仕事によって関わり方は様々です。
ただ、どの場合においてもありがたいことは、時間の融通がきくことです。夜の時間帯の取材は難しかったり、子どものお迎え時間があったりと、プライベートでハードルになりそうなことがハードルにならない。テレワークという時間の融通が利きやすい働き方であることも一つですし、仕事を一緒にする企業さんの理解も大きいですね。
例えば、取材候補日を優先的に調整してくれたり、夜間など取材に出れない場合は、取材の音声記録の記事起こしを提案してくれたりと、「それなら助かる、それならできる」という環境を一緒に考えてくれることで、仕事を続けられています。取材後の記事執筆は基本的に自宅で行っていますが、テレワーカーとして在籍しているデザイン会社でのワークも可能で、集中したいときにオフィスを利用することもありますよ。
ツネ:地域ライターの役割や、これから発信していきたいことは?
麻:取材をしていていつも思うことは、ライターという仕事は役得だなぁってことです(笑)
初めてお会いするにも関わらず、その方の取り組みや想いや夢をお伺いできるのですから。
丹波市は、農林業はもちろん、起業などのチャレンジ応援制度もあって、いろんな方面で活躍する人を取材する機会に恵まれていて。取材でお会いした方々の職業や取り組みを聞いて、世の中にはなんて色んな仕事があるのだろう、なんて色んな取り組みをしている人がいるのだろうと思います。私自身が子育て中だからかもしれませんが、こんな人がいるんだよ、こんな生き方があるんだよと、色んな人生の選択肢を子どもたちに伝えたいですね。丹波の魅力を外に発信することも大切ですが、中の人にも伝えて地元の人が地元の魅力に気づくきっかけを作ることも大切だと思っています。

この日はプライベートでもよく知る活動を取材。取材を通しての出会いも多いが、
知人やご近所さんの取材を行うことも。地域ライターならではの活動範囲。

ツネ:これから移住を考える人の参考に、丹波の暮らしについて少し教えてください。
麻:私が暮らす地域は、市内の中心地からは少し離れています。例えば、普段の食糧品の買い物であれば車で20分、大型の日用品や電化製品などの買い物であれば車で30分程度かかります。不便というほどではないのですが、いつでもどこでも買えるという環境ではありません。
だから良い意味で、買う物を吟味するようになりましたし、工夫するようになりました(笑)。例えばおやつなどは、アイスが食べたいなーと思っても、買いに行くのに20分もかかる。だったらわざわざ買いに行かなくても、なにか違うスイーツを作ろうかなというように。買い物のことだけでなく、いろんな場合において「柔軟に緩い気持ちで」が大切ですね。
移住する前や移住したばかりのころは、楽しい面にワクワクして、新しい暮らしへの期待も大きいのですが、暮らすことで「あれっ?」と思うこともあります。その「あれっ?」をどう乗り越えるかが定住のカギかもしれません。そんな時こそ「こういうこともあるよね」と柔軟に考えることや、悪い面にばかりとらわれることなく良い面を見つける工夫ができることが大切だなと、丹波に10年暮らした今、思っています。

 

「株式会社ご近所」

麻子さんがテレワークを行う企業のひとつ
地域の課題をデザインのチカラで解決する会社
所在地:丹波市春日町中山192-1
お問合せ先
Tel:0795-78-9603
Fax:0795-78-9604
URL:http://gokinjo.sc

 

interview / writing:恒松智子