【起業インタビュー】Maciolla leather factory

井德真樹子さん~大阪からUターン、革製品のアトリエ兼ショップを開業~

Uターン前はどんな暮らしをされてましたか?

丹波市内の柏原高校を卒業後、昔から手に職をつけたかったこともあって大阪の専門学校へ進学し、卒業後は2年ほどアパレル関係の会社で勤めていました。23歳の頃にバリーで働いてたんですが、同僚から「靴の学校に通っている」という話を聞いて私も通い始め、そこから靴づくりにはまって、翌年本場のイタリアへ学びに行くことにしました。

でも、急にユーロが高くなって専門学校へ行けず、語学学校やデザイン教室に通った後に、日本へ帰ってインポート関係の会社に就職したんですが、東京転勤があったりして思うような仕事ができなかったんです。それで大阪に戻って、西成で靴作りを再度学び直し、2010年から2016年まで、今の屋号で神戸にレディース専門のオーダーメイドシューズ工房を立ち上げました。

丹波市へUターンされた経緯を教えてください

私は三姉妹の三女なんですけど、色んな事情が重なって2016年に実家に帰ることになったんです。そのタイミングで神戸の店舗は閉めて、事業のメインを卸とオンラインに切り替えてやることになりました。

そこからお財布や鞄の卸先が増えたり、コロナ禍がきっかけでオンラインショップも忙しくなったこともあって、もう一度店舗を持とうと思って物件を探し始めました。それで2024年8月にこの物件を見つけて、アトリエ兼店舗としてオープンしました。今はお財布メインのオーダーメイドに切り替え、ワークショップもしたりしています。

まさか自分が丹波に帰るとは思わなかったんですが、でも、私は昔から80歳までやれる仕事をしたくて手に職をつけることにこだわってきましたし、私はどこでもできると思っていたので、「私しかおらんな」という感じでしたね。

なぜ革の製造業を始めようと思ったんでしょう?

多分、小さい頃から絵を描くのが好きだったからじゃないかと思います。ずっと服とか靴を書いてたんですよ。だから、高校卒業後はファッションデザイナーになりたくて大阪の専門学校へ行きました。

でも、専門学校の入学式で校長先生に『厳しい道やで』と初っ端から言われた通り、一年程で「デザイナーになれるのは本当に一握りだな」と実感して、現実を見つめ直して途中で方向転換した感じでしたね。

丹波市へUターン(移転)する際に懸念していたことはありますか?

Uターンした当初は、以前までのお客さまと採寸の為に電車で会いに行ったりもしましたが、やはり遠くて大変なのと店舗もないしで、いつかお店がまた出来たらいいなと思っていました。

2018年に半年ほど、男性靴を作ってほしいというご要望もあってイタリアのフィレンツェの靴学校にまた一から習いにいったんですが、やはり靴は一足作るのに時間もかかって大変だなあと感じたので、事業としての効率を考えて当面は財布に力を注ぐことにしました。

お店作りに関しては、これまで働いている時にディスプレイやカラーもひとしきり学びましたし、今までやってきたことが全部経験となって活かせるものになっている実感がありますので、特に懸念という懸念はなかったですね。

屋号の由来は何でしょう?

マチョッラは「真樹子の“ま”」「イタリアっぽい名前」「誰とも被らない名前」から、造語として考えて決めました。

でも、後になってよく調べてみたら、イタリアにマチョッラという観光でも滅多にいかないような小さい町があることが判明したんですが、妙な親近感もわいてそのまま使わせてもらっています(笑)

再オープンされてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

オンラインショップがメインとなるのは思っていた通りで、ここはショールームの位置づけで運営してますが、意外とInstagramやじゃらんなどを見て、観光のついでに来られる遠方の方が大半を占めている状況ですね。地元の方は知り合いやその紹介がほとんどです。

今はスタッフを3名雇って在庫管理や製作補助に入ってもらったりしながら、主に財布のカラーバリエーション日本一を目指して製作しています。他にも鹿の革を使ったクッションをつくったり、姉が作った石鹸などの雑貨を販売したり、ワークショップをしたりと、今後もお客さまのニーズを把握しながらアイテムを増やしていく予定です。

丹波はやはりそんなに観光地でもないので、足を運んでもらうことに苦労するエリアですが、秋の栗のシーズンとか、地域の魅力だけで来てもらえるコンテンツがもっとできてくるといいですね。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

よかったことは本当に自由ですよね。好きなことできるし、やりたくなかったらやらないと決めれるし。以前勤めていた時は自分の意とそぐわないことをするのがストレスだったので、それがなくなったのが一番いいなと感じています。

悪かった点は特になくて、強いて言えば売り上げに波があることぐらいです。でも、例年冬場は財布がよく売れて、夏は麻系が売れるといった傾向があることは以前からわかっていたことなので、うまく合わせて対応していくだけかなと思いますね。

丹波市に帰ってきてよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

以前はコンビニご飯も多くて体調を崩すことも多かったんですが、自然と手料理中心になって食生活のバランスが良くなりました。体に優しいものとか、野菜を求めるようになりましたね。あと、車に乗るようになってからはどこでもいけるなと、一見不便なようで快適になりましたね。

また、以前の店舗周辺はそんなに治安がよくなかったり、救急車やパトカーとかが結構な頻度で走っていたのでうるさくて集中できなかったりしましたが、今は鹿の鳴き声が聞こえるくらい静かで、好きなだけ仕事できる環境なのが気に入ってます。

ただ、向こうの友達と離れて会いにくくなったのは、ちょっと悲しいというか、寂しいところです。

将来の展望はどのようにお考えですか?

オンラインショップ含め、海外展開したいですね。今月から仙台や東京のイベントや展示会に出展するので、来年以降は外へ出て、こちらからお客さまの顔が見える場に行く年にしたいんです。以前、靴で海外の展示会に出たこともありましたが、また新たに出来たらいいなとも思っています。

最近では物価高で材料もかなり高くなってきましたし、日本国内だけでは販売価格とのバランスが難しいので海外を視野に入れつつ、ゆくゆくの夢としては黒豆を海外で売るとか、食関係でも海外に行けたらいいなと思っています。視野を広げる段階ですね。

起業を考えてる人に何かアドバイスをお願いします。

これは税理士さんからの受け売りですけど、「お金は借りれる時に借りましょう」ですね。
いざポケットマネーだけで、すっからかんになるまで使ってしまうと大変なので、お金は借りた方がいいです。どんな大企業も借金しますし、大きくしていきたいなら事業計画とともに余裕のある資金繰りが賢明かなと思います。

あと、私も利用させてもらいましたが、補助金も商工会さんに相談するなりして、使えるものは使った方がいいですね。起業する際や、何か機械を買う時には大体補助金があったりするので、専門家に相談しながら利用することをお勧めします。

※この記事は2025年12月10日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名 Maciolla
代表者名 井德真樹子
669-3461
住所 兵庫県丹波市氷上町市辺588 東野ビル102
電話・FAX 0795-86-7920
営業日 金土日祝10:30~18:00、月木10:30~17:00(完全予約制)
定休日 火水
WEB https://maciolla.com/
instagram https://www.instagram.com/maciolla/