【起業インタビュー】わがしみず穂

堀本直邦さん・朱莉さん~よりのびのびと暮らせる場所を求めて移転した和菓子屋さん~

移住前はどんな暮らしをされてましたか?

(直邦さん)
僕は加古川市の生まれ育ちで、福井の大学に進学しました。在学中に小浜の和菓子屋さんで働いてたことから仕事として興味がわいて、卒業後は修行先として京都のお店を紹介してもらって5年程働いていました。

ずっと独立希望だったので、修行期間が終わったあとは資金集めのためにコンクリート製品工場やお好み焼き屋さん等、色んなところで働いていて、その時に妻と出会いました。

(朱莉さん)
私は高校までずっと神戸で、父が元々ホテルの料理人で、三宮でフレンチのお店をやっていたりする関係で食に関する仕事に興味があり、パン屋さんに就職して働いていたんですが、割とすぐに結婚したので、社会人経験は短いです。和菓子の経験はなかったですが、一緒に手伝うようになりました。

移住した経緯を教えてください。

(直邦さん)
結婚を機に自宅兼店舗でお店ができる物件を探していたところ、西明石に辿り着き2017年に開業しました。隣がスーパーだったので、ある程度お客さんが見込め、駐車場もあったため助かりました。

(朱莉さん)
でも、1階が店舗、2階が住居だったんですが、やはり子どもも2人大きくなってきて、狭すぎて限界がきたんです。もうちょっと住居スペースが広いところにいきたいなという話になって。

(直邦さん)
お店の方も、和菓子の機械は結構場所をとりますし、欲しい機械があってもスペースがなく導入を断念していました。最初は明石周辺で探してたんですが、予算・立地・広さなどの条件にあった物件がなかなか見つからないまま2、3年が経っていました。

またここ数年、材料費の高騰や気候変動により材料が手に入りにくくなって来た事もあり、材料の生産地の近くに移りたいという気持ちも年々大きくなっていました。そんな時に地元周辺にこだわるのをやめ、少し視野を広げてたどり着いたのが丹波市でした。2024年11月に引っ越して、2025年1月からお店をオープンしました。

丹波市へ移転する際に懸念していたことはありますか?

(直邦さん)
以前の店があった明石から離れるので、「また一からになるかな」という気持ちで、集客面は不安でした。移転に合わせて店の名前も変えたこともあって、以前のお客さんもここまで来てくれるかわかりませんでしたし、客層も変わるでしょうから、看板出しても来てくれるかどうかという感じでした。

あと、最初は駐車場が今の半分くらいの広さで、車の出入りがしにくかったんです。店の前の道路は思ったより交通量が多く、いつか事故が起こってしまうんじゃないかと感じたので、開店には間に合わなかったですが9月頃に広げました。万が一のことが起こらないようにしていきたいところです。

丹波市への移転当初の資金繰りはどうされましたか?

(直邦さん)
店舗部分については、貯金と足りない分は店舗の施工でお世話になっていた工務店さんから京都北都信用金庫丹波支店さんを紹介して頂き融資を受けることができました。今回は市外への移転でしたが、市内での移転の場合は借りやすく、融資額ももっと大きく出来る様です。

自宅部分は昔ながらの日本家屋の割に築年数が浅く、耐震基準もクリアしていた事でローン審査を通過しやすかったのでラッキーでした。

起業する際、具体的な手続きについては誰かに相談されましたか?

(直邦さん)
基本的にはまずネットなどで調べました。あとは修行先の先輩や、先に開業した人とかに聞きながら準備しました。融資は日新信用金庫を通して県の保証協会から受ける事が出来ました。実績が全く無かったため、融資を受けるまでかなり時間がかかり、受ける事が出来た融資額も想定よりも少なかったです。信金には担当者さんのアドバイスを受けに何十回通ったと思います。

丹波市に移転する際は工務店さんから紹介して頂き、商工会に補助金について相談しにいきました。紹介して頂いた補助金がいくつかありましたが、役所では最終的に移住者に関する補助金は全く利用できなかったです。

自営業者の場合、移転手続きだけでは条件に当てはまらない様で、一度明石市で廃業してから丹波市で新規開業という形であればまた変わってたかもしれません。同じように移転される方はパンフレットだけでは確認しづらい事も多いので、先に役所とも相談しながら進められた方が最終的に無駄がないと思います。

屋号の由来は何でしょう?

(直邦さん)
以前の店名が「あずき処千賀」だったんですが、読み違いや電話口で聞き直されることが多く、読みやすさは大事だなと思っていたんです。だからひらがな主体で、小学生でも読めるようにしようと考えました。

以前からこの界隈は何度か車で通ることがあったんですが、舞鶴若狭道の春日インター前後の直線から見える景色がすごく好きで、青い田んぼが広がっていてとても綺麗なイメージがあり、青く瑞々しい稲穂と言う意味でこの名前にしました。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

(直邦さん)
平日は近所の方が、土日は観光客とか明石の時のお客さんが来てくれたり、前を通りがかって気になった方が来てくれたりして、思っていたより来てもらえてる印象ですね。丹波は季節によって見どころや美味しい食べ物が色々ありますので、ドライブがてらにお越しになるお客さんも多いです。

人によって感じ方が違うんでしょうけど、丹波は意外と便利ですよね。京阪神へも日本海側へも1時間〜2時間でいけるし、なんといっても渋滞のストレスがないです。

また、以前は子どもの登下校時もいつ跳ねられないか不安だったくらい車が走ってましたので、こちらはそうしたリスクも低くて安心感があります。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

(直邦さん)
まずは子どもが近くで見れることですね。子どもが家に帰って来た時に誰かがいる事が理想でしたので、外で勤めていたらそうはいかないのかなと。後は自分の考えた事を直ぐに試してみることが出来るのはいいところです。

よくなかったことは、あまり考えたことがないですけど、季節によって売上が上下して収入に波があることですかね。明石で起業した最初の頃は売上げが安定せず、情報サイトの明石じゃーなるさんのネット記事などで取り上げてもらい大変助かった事もありました。

後は学校や保育園が休みになるゴールデンウィーク、お盆、年末年始などはどうしても店が忙しくなる時期と重なり、家族の助けがないと切り盛りできないところですね。親や親戚が遠くから子どもを見るために来てくれたり、助けてもらってるからお店ができているので感謝です。

将来の展望はどのようにお考えですか?

(直邦さん)
原材料も出来るものは少しずつ作っていきたいなと考えています。今年から栗園を借りたり、近年後継者不足で手に入りにくくなってきたヨモギとかも作る予定です。

あとうちは子どもがアレルギー体質なこともあって、子どもも安心して食べられる、より体に負担をかけないお菓子ができたらいいなと思っています。やはり砂糖は少なからず体に負担がかかると思っているので、今は砂糖を何割かオリゴ糖に置き換えたりしています。

その他に和菓子には直接関係ないのですが、漬物(すんき漬け)が腸内環境を整えてくれるということで材料の赤カブを植えたりしています。和菓子だけにこだわらず、漬物や自分が好きな鯖寿司なんかもチャレンジしたいです。

起業を考えている人へのアドバイスをお願いします

(直邦さん)
丹波市では近くの洋菓子屋さん、パン屋さん、ラーメン屋さんなど大繁盛されている店をよく見かけるので、業種によってはこれからチャンスがあると感じています。確かに都会の方がテナントの数も多いし、より早く起業しやすい側面はありますが、郊外でもやりようだと思うので、視野を都会に縛る必要はないのかなと思います。

ただ、郊外は物件が少ないのがネックで、根気よく条件に合うものを探すしかないと思います。業種にもよると思いますが、回転の早い店舗の場合、車の出入りが激しいので周辺住民に迷惑がかからないような拓けた土地物件が理想ですけど、そうなると更に少なくなります。

移転するにあたって丹波市内の他の店舗の方に伺ったのですが、やはり駐車場は最重要課題で、最低でも5〜6台分はあった方がいいと教えて頂きました。中途半端に決めてしまうと後に響くので、最低限譲れない条件ははっきりして時間をかけて探すのがいいと思います。

※この記事は2025年12月2日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名 わがしみず穂
代表者名 堀本直邦
669-4125
住所 兵庫県丹波市春日町多田483-33
電話 0795-86-8850
営業日 水~日9:30~18:00(日は16:00まで)
定休日 月火
instagram https://www.instagram.com/wagashi_mizuho/