【起業インタビュー】Switch.

高橋渚さん~ただの飲食店にはしたくない。人と楽しみが集まるビストロを起業~

移住した経緯を教えてください。

僕は北海道の函館出身で、中学生になる頃に青森に引っ越しました。高校の頃から食べるのが好きで、「将来の仕事どうしようか」と考えた際、親が仕事で料理していたこともあって、「自分も料理をしてみたい」と思ったのがきっかけで、大阪の専門学校へ進学しました。

日本料理・西洋料理・中華・製菓と学び、パティシエになろうと思っていたんですが、先輩のアドバイスもあって、料理の方へ進むことに決めました。その後はイタリアンのお店や、ベルギービール専門店、フランス料理のレストランで働いて、丹波に来る前までは妻が京都に住んでいたので、結婚を機に京都へ移り、四条木屋町にあるビストロで働いていました。

でも、子どもが生まれたタイミングで妻が体調を崩したこともあり、義理の父母に助けてもらうことが多かったんです。義父が丹波市に縁があり、親戚が丹波市に住んでいることもあって、2019年に丹波市へ引っ越してきました。

僕も、もともと田舎育ちですし、京都の街中よりも丹波の方が肌に合っていたこともあって、特に抵抗なく移住しましたね。

「飲食店で働くなら、自分のお店をやりたい」という気持ちがあったので、まずは経営のことだけでなく、丹波を知りたいという思いもあって、市内のお店で働かせてもらいながら起業の準備を進めていました。

以前住んでいた場所と、仕事や生活での違いは何かありますか?

大きく言えば都会と田舎ですよね。僕は、丹波の「いい意味での不便さ」が好きです。都会だったら何でも揃っていて、安く手に入るものもたくさんあります。丹波だとなかなか手に入らないものがあったり、少し足を伸ばさないと買えなかったりします。

でも逆に、野菜や食材の生産者がすぐ近くにいたりする。仕事柄、そういう暮らしが好きなので、僕にとってはそれが「いい不便さ」だと感じていますね。

なぜビストロを始めようと思ったんでしょう?

僕自身の性格が、良く言えば「広く浅く」なんです。趣味もそうですが、いろいろなものが好きで、いろいろなことに興味があります。フランス料理やイタリア料理、ベルギービール専門店だったり、これまでいろいろな業態で働いてきました。

でも、そういういろいろなものを楽しめる店って、丹波には少ないなと思っていたんです。僕自身、丹波にそういう店が欲しかったのもあります。「飲みに行こう」となった時に、一般的な居酒屋だけでなく、「ちょっと洒落た料理を食べながら、クラフトビールやワインを飲める場所があったら嬉しいな」というところから、今の店の形につながっています。

丹波市で起業する際に懸念していたことはありますか?

一番は、こういうスタイルのお店が市内になかったので、受け入れてもらえるのかが心配でした。

あとは業者ですね。丹波は業者自体が少なかったり、配達エリア外だったりします。「篠山までは行きますけど、そこから先は配達できません」と断られることが結構あります。食材を地元に限ってしまうと、欲しい食材が時期によっては手に入らなくなってしまうので、そのあたりが難しいところです。今はインターネットで仕入れもできますし、いろいろとうまく活用しながら、価格と品質のバランスをとるようにしています。

起業する際、具体的な手続きについては誰かに相談されましたか?

最初からすべて商工会に相談しました。最初相談にいった時に「もう少ししたら起業塾があるから、いきなり加入する前にまずそれを受けたらどうか」と教えてもらい、それで起業塾を受けました。その後、お金のことなども含めて、担当者にいろいろ聞いていました。

起業塾では、起業同期が沢山できてお互い切磋琢磨できていいなあと感じています。この辺りは個人事業主の方も多いですし、周りから商工会の話を聞いていたというのもあって、自然と「商工会に相談しよう」と思ってましたね。

当初の資金繰りはどうされましたか?

基本は借り入れして、あとは補助金を活用させてもらいました。

ピザ釜など、厨房機器や倉庫のリノベーションに大きく資金が必要だったので、倉庫のリノベーションは可能な限りDIYで手直ししたり、テーブルやカウンター、トイレは全てDIYして作りましたね。

意外と作れるものですね(笑)

屋号の由来は何でしょう?

この店が「お客様にとってオンになったりオフになったりする場所になればいいな」というところですね。それに加えて、この店は見てもらったら分かる通り、僕の趣味が全開のお店です。例えばここに来たことをきっかけに、植物にスイッチが入ってハマるとか、そういう「何かのスイッチ」を刺激できればいいなという意味もあります。

店名を考える時、名前が長くて分かりにくい名前で「氷上のピザ屋さん」「あそこの店」と呼ばれてしまうのを避けたくて、わかりやすく覚えやすい店名が良いなと思い「Switch.」という店名に決めました。決める時にはあまり迷いませんでしたね。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

2026年1月にオープンしてから、想定していた以上に多くのお客様にご来店いただき嬉しい限りです。ランチ・ディナー共に常連様も増えてきて、非常にうれしく思います。

土日は福知山市や西脇市といった市外から来られる方が多くなりますが、夜は丹波市内の方が大半です。よく「歩いて来られるのが本当にいい」と言っていただきますね。飲食店冥利に尽きるなあと感じています。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

良かったのは、自分がやりたいこと、自分が作りたい料理を提供できることですね。もともと、地域の人たちが集まれる場所になればいいなと思ってたんですが、実際に知り合いが来て、別のテーブルの人たち同士が仲良くなってるのを見たりすると、やってよかったなと感じますね。

一方で、今の段階では、経営として完全に軌道に乗っているわけではありません。連休がある月はそれなりに売上を作れますが、何もない月になるとまだまだ不安定です。原価なども含めて、店の中身をもっと筋肉質にしていくというか、もう一段階安定させられるかが今後の課題です。

将来の展望はどのようにお考えですか?

ただの飲食店にはしたくないですね。植物のイベントをしたり、夜にマルシェしたり、飲食店とは違う形でも、この場所を使って何かを表現できたらいいなと思っています。3on3のバスケの大会とかもできたらいいなあと思っています。子どもが試合中に、親はちょっと飲みながら試合見たり、応援できたら面白いですよね。

貸し切りも大人数でできますし、今度、結婚式の二次会も入っています。駐車場もそれなりに確保できていますので、建物の広さを活かしつつ、倉庫の方も気温が苦にならない時期なら、色んなことをやりたいですね。

これから起業しようと思ってる人に対してのアドバイスをお願いします。

「とにかく動いてみる」ということですね。例えばチャレンジショップのように、市内にも実際に試せる場所もあります。「やってみたい」と思ったら、とりあえず動いてみる。そうした方が、自分でも結果に納得できると思います。

実際にやってみれば難しさも分かりますし、特に飲食店は、色んな店で働いてきた僕の感覚では「とりあえず動く」タイプの人が重宝されていた印象があります。何でもチャレンジして、すぐに動ける人の方が、独立するのも早い人が多かったので、頭でっかちにならないようにすることが大切だと思います。

 

※この記事は2026年8月20日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名 Switch.
代表者名 高橋渚
669-3601
住所 兵庫県丹波市氷上町成松462
営業時間 11:30~22:00
定休日 火+不定休
instagram https://www.instagram.com/switch_t2025/
HP https://switch2026.jp/