移住者インタビュー

Vol.84 / 2022.02.26

暮らしを大切に。自分を見つめてご縁がある場所と人に出会った地域が丹波市だった。

紀 智子さん

こちらの記事は自身も移住者である丹波市移住定住相談窓口メンバーが行なった先輩移住者のインタビューです。新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮し、検温とマスク着用にてインタビューを行っておりますが、写真撮影時のみマスクをはずして撮影させて頂いています。

実際に移住して生活する時、暮らしの面と合わせて気に入った家が見つかるかどうかを基準にして選ばれる方もいらっしゃいます。今回インタビューさせて頂いた紀 智子さんは、ご家族で田舎に移住することを検討し始めてから、移住先やお家を探しておられました。丹波市の物件と地域の方とのご縁を感じて移住してこられた紀さん、その選択と今の暮らしについてうかがって来ました。

 

 

自分自身を内観した時、暮らしを大切にできているか?

 

ただ見ている感じ。物事を判断することなく、今起きてることに対してこう感じている。それをどうにかしていきたいと思っている自分。ただ内観して気づいていく。

 

紀さんは丹波市に来られるまで、ヨガのインストラクターのお仕事をされていました。言葉のひとつひとつ、選び方がとても素直で達観した感性を感じさせられる。そんな印象の方ですが、明るくよく笑い、気取らない素敵なご夫婦です。

 

 

元々はお母さんが心の病にかかった時にどうにかしてあげたい、どうにかならないか?と悩んでいた時にたまたま目に入ったのがヨガだったと紀さん。出会った有名な先生の元で勉強させてもらっていると「才能がある」と見初められ、アシスタントとして活動されました。華やかな世界を見た紀さんですが、家族と疎遠になったりしていくことに違和感を感じたそうです。

 

なんか違うな。と感じたんです。夢を掴みに行ったり、凄いよって言われ続ける圧力、違和感があって。 輝かしい、羨ましがられる半面、(心が)ジューシーじゃなかった。

ヨガを辞めよう。と思ったタイミングで今教えてもらっている先生に出会ったんです。その先生は哲学的な方で、言葉のひとつひとつが心にすとんと落ち着く。爽快に解説をしてくれました。

その時、インストラクターじゃなくてもよくて、ヨガを通して家族だったり、暮らしを大切にできているかの方が大切だなと感じたんです。

 

10年前くらいから古民家に興味があって。丹波市にご縁があったタイミングは、主人が50歳になった時でした。主人はホテル業界に長く勤めていたのですが、とっても真面目で不器用で、仕事がうまくいかなくなったり思い通りにいかなくなっていたのを見ていて。

その時に、今後の人生について考える良い機会がきたな、って思いました。
普段から問題が起きたり、物事が上手くいかなくなる時に、何が起きるかなと観察してるから。

良い会社に勤めるとか、役職がなくても自分にも価値があることを確かめる良い機会がきてるんじゃない?って主人に伝えて。ご縁があってその翌日に今の物件を見にきたら、この家で楽しいことが沢山ありそうなイメージがいっぱい浮かびました。

 

 

 

 

 

ご縁を感じた場所、家、そして人。

 

現在お住いの家に出会った紀さん。とても大きく立派なお家で環境も素晴らしい物件で、ローンを組んで購入することを決断されました。また、紀さんはその時に出会った人たちにもとてもご縁を感じたそうです。

 

 

たんば”移充”テラス(丹波市の移住相談窓口)に、ここだったら相談できるかもしれないと思って電話したら、快く対応して下さって。地域の方々、自治会長さん、役員さんに出会う機会を頂きました。

その時に出会って、今もお世話になっている地域の方がいらっしゃるのですが、その時に「いいお返事を待ってます」って言ってくださって。とてもほっとした。最初は几帳面そうな方だなあという印象でした。

 

移住して来て、その方に畑のこととかで「これってこうなんですか?」と聞くと、本当に色々教えてくれるんです。有機農法で全ての作物を作っておられて、今78歳で何でも知ってるはずなのに知ってる顔、偉そうな顔を全くしない方で。一通り話したら「(僕みたいな変な人間の話をずっと聞いてもらうのも申し訳ないし)はい、聞いてくれてありがとうございました、帰ってください」ってさっぱり言われるんです(笑)本当に飾らない凄い方です。

 

 

 

「十分すぎるくらい皆さんから貰っている。感謝して暮らして、自分たちにできることで地域の方へも還元していきたい」と、本心から語っておられる姿が印象的でした。内面を見ていくヨガを通して日々自分に向かい合っている紀さんと、地域で大きく変わらない風景や景観、田畑を何年も同じように守ってきた方達は、どこか通じる言葉があるんだろうなぁと感じさせられていました。

 

 

 

学びを与えてくれる場所で、今後やっていきたいこと。

 

まちや集落をみると、大きな家族だなあって思うんです。そこは、都会と考え方が違うなって思います。娘も、こっちの学校の方が楽しい!って。

ほんとに移住してきてよかった。良いことどころか、学びと、楽しい!めっちゃすごい!というのを沢山与えてもらっています。

自分に大したことができるかわからないけど、何かできることあれば言ってください!って地域の方に言ったら「そんなに焦らなくていいからとりあえず生活にまずは慣れてください」って言ってくださったり。本当にありがたいですよね。

 

 

この家と、環境と、ヨガと。主人の今までの仕事の経験も活かせるので民泊は将来やりたいな、って思っているんです。人が来てくれると、この家も喜んでくれる。(大きく立派なので)3人で暮らす家ではないかなって。

でも、銀行にお金を借りたのは事業でなく住宅でのローンだったので、そこは銀行とちゃんと相談してできるなら、ということですね。出来なかったらそれはそれで正解なんだろうな、と思います。

 

お金を貸してくれる銀行や、商工会の方もとても親身になって相談に乗ってくれたと紀さん。このインタビューの際は民泊ができるかわからない状態でしたが、後日銀行からOKをもらったとのこと。本当に色んな人に支えられて今の暮らしがあると繰り返し感謝の気持ちをお話されている姿が印象的でした。

 

 

面白い人も丹波市にいっぱいいるんです。ほんとに変な人がたくさん(笑)

こうやってせっかく場所があるのでみんなで集まってお話ししたり、みんなでワイワイしたりしてもいいし、朝晩ヨガ、昼はトレッキング、脱力してリラックスするのと、内側から元気になれるので、特にこういう地域でやるといいことが沢山ありますよね。

 

 

 

軌道に乗るまではやりたいことも決まってないし、ここの家が(民泊に)使えるかもわからないし。方向性が固まれば力を注ぎやすいですけど、まずは方向を見定めてからやっていきたいなって思っています。上手くいかないこともあるかなぁと思いますが、全部ひっくるめて必要なこと。諦めずにできることを、最善を尽くして後は天命ですね。

 

 

この方は地域に馴染みそうだな、と直感的に思うことがあります。それが何故かはわかりませんし、思わなければ馴染まないわけではありませんが、きっと紀さんご夫妻はこの地域に馴染んでエリアの顔になって行くように感じました。「自分が元気で、幸せで初めて周りに分けられる。」そう話す紀さんが、どことなく地域のことを大切に思うおじいちゃん・おばあちゃんと重なって見えたからかもしれません。これからの生活の中で良い面も悪い面も含めて丹波市の暮らしを発見されると思いますが、きっと紀さんは素敵な暮らしを形作っていかれるだろうなと感じるインタビューでした。

 

 

 

 

今回初めてお会いした紀さんですが、初めてじゃないような不思議な感覚になる方でした。今回は取材だったので時間がありませんでしたが、ぜひ紀さんのヨガも体験してみたいなと思いました。民泊も計画中とのこと、数年後には予約のとれない人気スポットになっている気がしてなりません。