移住者インタビュー

Vol.45 / 2018.06.29

自分が食べたい、と思う料理を。母から受け継ぐ、採れたて野菜のお料理

岡田美穂さん

丹波市で15年前から農家民宿を営む「農家民宿おかだ」さんは、提供するお料理の原材料のほとんど(お野菜は全て)を、農薬を使わず育てた、自家製のもので提供しています。岡田美穂さんは、西宮市で生まれ大阪の調理専門学校を経てパティシエとしてホテルやカフェでお仕事をした後、お子さんと一緒に丹波へ移住しました。民宿のある場所が元々祖父母の暮らす地域だったので、いわゆる「孫ターン」。小さい頃に遊びに来ていた思い出の場所でもあります。移住して2年目。今の暮らしや、お料理・農業の仕事についてお話を伺ってきました。

 

 

 

 

 

父と母が立ち上げた農家民宿

 

美穂さんは、お父さんとお母さんが農家民宿をはじめたこの場所へ、2年前にお子さんと一緒に移住してきました。元々実の祖父母の家だったため、いわゆる「孫ターン」にあたります。丹波市として第一号の農家民宿、農林漁家民宿おかあさん百選の宿、女性農業士の作る野菜と料理。15年で培ってきた様々な実績を美穂さんが受け継いていくことになります。

 

 

元々、丹波には絶対来ないと思ってたんです。虫も土も嫌いで、田舎には絶対住めないと思ってた。「農家民宿おかだ」が大きすぎて、まだ継いでいくんだと偉そうには言えないですが、畑や田んぼも教わりながらチャレンジしているところです。生活面でも仕事面でも今は来て良かったと思ってます。 

 

 

 

自分が食べたいと思うお野菜と料理を

 

 

美穂さんは現在、お料理だけでなく野菜づくりにも挑戦中です。お母さんが作っているものの中で、自分が美味しいな、食べたいなと思ったものを教わりながら選んで育て、料理にしていきます。

 

 

こういう料理出したいなと思った時、私は自分にそんなに自信がないので、まず友達と飲み会をした時に出してみて、試したりするんです(笑)それで美味しい、って言ってくれたらメニューに加えたり。お酒飲んでる時はみんな嘘つかないですよね(笑)

 

 

お母さんから少しづつ教わりながら、料理や農業にもチャレンジしている岡田さん。「私は、何もできない人の見本として出しておいてください(笑)」と話しながら、同時に、ちゃんと向かい合ってやってみれば、何とかなっていってるなということも実感しているのだとか。

 

 

 

 

おばあちゃんやお母さんがしてきてくれたように、子どもへ残してあげるために

 

 

元々西宮で生まれ、千葉や大阪など様々な場所に住んだことがある岡田さん。大阪にある調理の専門学校へ通うことになりますが、料理に興味を持った原体験があるそうです。

 

 

子どものころ、お父さんのお客さんがいっぱい来て、その時に母が出していた料理が、木の板の上に皿盛りでたくさんあるような豪華なもので。美味しそう!と思ったのを今でも覚えています。だから私も、これからランチでお皿に小鉢や器をたくさんのっけたようなワンプレートを作ってみたいなって。

 

 

 

 

岡田さんが子どものころ、祖父母がいる丹波からお米や野菜が定期的に送られてきたそうです。そして、その野菜をつかってお母さんが作った料理を食べて育ちました。同じように、今度は自分が母になったとき、お母さんから野菜が送られてきたそうです。

 

 

元々は畑や野菜作りを自分がやると想像もしていなかったんです。出来ないと思ってたから。ですが、丹波に移住することも考えていなかった頃に、子どもに「おばあちゃんがお野菜送ってきてくれたみたいに自分にも送ってきてくれるんやんね?」って言われたんです。その時に「はっ」と思って。自分はこの子たちに何をしてあげれるんやろうと。今は何もしてあげられないな、よしじゃあやってみよう。って。

 

 

 

「今では耕運機にも乗るし、草刈機なんて完璧にこなしてくれるんですよ」とお母さん。農業とランチはゆずっていこう、自分がいなくても成り立つように、と考えておられるようです。

 

 

岡田さん自身は都市部の生まれ育ち。移住してきてギャップやイメージと違うことはなかったかも聞いてみました。

 

 

最初、引っ越してくる前はずいぶん悩んだんです。田舎で暮らしていけるのか、実際に見に来たり、学校に通えるか子どもを歩かせてみたりして。でも実際移住してみたらそんなに心配することもなかったなと感じました。この辺りは近くにスーパーもあるし、むしろ子どもの方が馴染んで私に色々と教えてくれるんですよ。移住してきたのはよかったな、と思いますね。

 

 

 

地域の文化や風土が受け継がれていくように、親子の中でも受け継がれていく考え方や思いがあるんだなと岡田さんをインタビューしていて感じました。「農家民宿おかだが大きすぎて、自分が受け継いでいけるのか不安なんです」とお話ししながら、一つずつお母さんの培ってきたことを学んで、チャレンジしている姿は「きっとこの人が看板を継いでいくんだなあ」と思わせるのに十分なものでした。とても素敵なお母さんとお二人がしてくれるおもてなしは、丹波に訪れる際は是非立ち寄って欲しい新しい農家のカタチではないかなと思います。

 

 

 

 

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農家民宿おかだ

住所:兵庫県丹波市氷上町新郷1339

TEL:090-5246-5081

ご予約:宿泊・ランチ共に要予約

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