丹波の野菜と鹿料理。本当のジビエを楽しんで。
無鹿 鴻谷 佳彦さん
本当のジビエを楽しんでほしい。丹波市に鹿 肉を使った珍しいレストランがあります。丹 波の野菜と鹿料理の店「無鹿(ムジカ)」のオー ナー鴻谷さんは丹波市で生まれ育ち、高校を 卒業後すぐに料理の修業へ。23 歳で U ターン し、家業である仕出し屋を手伝い、28 歳の時 に法人化し継業しました。なぜ鹿肉専門店という珍しいスタイルを選択したのか、今後の構想についてもお聞きしてきました。
鹿肉の固定概念を崩された
〝丹波に帰ってきて、はじめて鹿肉を食べた時に自分の固定 概念が崩されて。元々は美味 しくないと思ってたんだけど「めちゃくちゃ美味しいやん」と。それでこれを広めたいなと思ったんです。〞
事業を28歳で法人化・継業し、 歳の時に鹿肉と出会った鴻谷さん。そこから鹿肉の美味しい料理を試行錯誤し、1000種 類近くのレシピを考えました。
〝ちょうど獣害の話も聞いて、 美味しいから売れるやろうと頑張り出したんです。最初は「鹿なんてどうやねん」って言われたりしたんですが、そこは逆に「今に見とけよ」って 気持ちでやる気がでましたね。〞
新しいチャレンジへ
無鹿は今後 、店を構える柏原 地域の古民家から春日地域の 一軒家にお店を移転します。 自然に近い集落の大きな古民家 をリノベー ションし、2018 年 8月からオーベルジュを 始める予定です。内装やお店のコンセプトは変わりませんが、色々な新しい取り組みも構想中です。
〝自然に近い場所なので、山のきのこや川のうなぎとか川魚とか、熊の肉も活用できたらいいなと構想中です。本当のジビエというか、山の恵みを楽しんで 欲しいなと。〞
「 強烈な印象を与えられる料理を提供したい」と話す鴻谷さん。今後の動きにも注目です。
お店のコンセプトもありますが、オー ベルジュにしようと思った理由に、生活的な側面でも考えがありました。
〝子どもと一緒にいる時間を増やしたかったというのも一つの理由なんです。今度のオーベルジュは、住む家も一緒になるので。一緒にものを作ったり、畑に行ったり、そういうことを通して学びながら成長していって欲しいなという自分のイメージもあって。〞
丹波市で生まれ育った鴻谷さんは、幼 少期は自転車を改造して山に出かけたり、高校生の頃にはアマチュア無線の免 許を取って無線機で友達と連絡を取り合ったりと「何もない」中で楽しみを生み出していたそうです。
〝当時は本当に何もない、ってネガティブ に自分の住んでる地域を見てたな、って思います。けど最近はIターンで移住し てきた人の中にはIT等の能力を持った人 も多いし、イベントも頻繁に行われてい るのでたくさん新しい情報が入ってくる 印象があります。昔は自然の中で遊ぶと 危ないと叱られてたんですが、今はそれ をイベントとして遊べる様になってたりして。子育てにはものすごくいいんじゃないかな?と感じています。〞
周りの大人たちによく怒られたり、自分の親に告げ口をされたりと窮屈さを感じていた鴻谷さん。ご自身の経験もあり、子育ての中で色々な体験をして欲しいと考えています。現在は、Iターンの人たちの知識も混ぜ ながら新しい発想が生まれ、面白くなってるなと感じるそうです。鴻谷さんは現在、丹波市の高校生へ向けて、授業も行っています。
〝田舎のいいところの一つとして、ちょっと頑張ってたらすぐ目上の人と つながったりするということがあるなと思います。授業の中で子ども達に経 験を伝えたりするのは、ライフワークとして、また今後の仕事や活動の種まきとして充実感があるなって。〞
ワークライフバランス、という言葉 がありますが、仕事と生活(趣味)との 境界をはっきりさせることより、その 垣根を無くして自分の生活を豊かにす るように働くスタイルを考える人も増 えてきています。暮らしの中で「子ど もと一緒にいたい」という理想を仕事 と共に叶えたり、又は地域の課題であ る獣害を仕事を通して解決したりと、 鴻谷さんのお話の中には、これからの 幸せな生き方につながるエッセンスが たくさんあるように感じました。オーベルジュで一泊できる場所になると、 更にその生活を感じられるようになり そうです。一度ぜひ、時間を作って遊びに行ってみてください。