移住者インタビュー

Vol.9 / 2015.11.27

農業×里山保育!丹波で自分の生き方を見つける

竹岡 郁子さん

 

竹岡 郁子さん

竹岡郁子さん

京都府長岡京市出身。2014年8月に結婚を機に丹波市へ移住。丹波市山南町にある笛路村の竹岡農園(※1)にて農家の嫁として暮らす傍ら、10年間保育士として働いた経験を活かして「里山保育」の構想を考え中。

田代春佳(以下、春):こんにちは!
竹岡郁子(以下、郁):こんにちは〜今日は畑作業しながらお話してもいいかな?
春:はい!もちろんです。こっちに移住して来てから1年が経ちますね。丹波に来た最初のきっかけはなんでしたか?
郁:フラワー企画(※2)の企画した「小豆の植え付けイベント」かな。イベントに参加した後日、イベント主催者の花田さんに丹波を案内してもらって、その時に「丹波いいな」と思ってね。
春:なるほど!その、「いいな」と思った理由は??
郁:何やろうね・・・。(こっちでの生活は)人間本来の生きる姿というか、無機質なものが少なくて、生活が自然にそっているのがいいなと思って。なんとなく、農家の嫁になりたいなと思ってたこともあって。

ご自身の畑で

春:そうなんですね!今のような生き方に興味をもつきっかけはありますか?まず、ずっと小さい頃から遡って聞きたいです。
郁:うーん、なんでだろうな。私は京都に生まれて、小さい頃は下町の商店街でおじいちゃんとお母さん、お父さんで喫茶店をやってたの。その時から人と触れ合うのが好きでした。出前もやってたりして、地域の人に可愛がってもらってたかなと。でもまだ今の生活とは全く違うかったな。それから大阪に引っ越して、そこで学生生活をおくって社会人になって。で、10年幼稚園で働きました。小さい頃保育所の先生が好きだったこともあり、幼稚園の先生はこどもの頃からの夢でした。
春:そうなんですね。この時点ではまだ農家さんとの接点はないようですが、その幼稚園にいた10年間で価値観の変化がありました?
郁:この間に価値観はすごく変わったかな。幼稚園にいた時に用務員さんがいて、その方がずっと野菜等、園の畑で作られていました。なので子供たちと畑のお世話をしたり収穫したり、そうしながら子供たちの反応を見ていて、「小さい頃からこういうことに触れることって大事だな」って思うようになりました。自分たちで育てたものをその場で食べることで、野菜の成長を楽しみにしている子がいたり、いつも用務員のおじさんのお手伝いをしている子がいたり。「あ、そうやんな、子供ってそういうの好きやんな」って思って。働きはじめてすぐの頃は、まさか自分が都会を離れて田舎に暮らすとは思ってなかったけれど、そんな経験を通してそういうのっていいなと、とても興味が向いて。それが今みたいな暮らしがいいなと思うきっかけになったかな。

インタビュー中に人参収穫終了!

春:それで、そんな体験に近いことができるフラワー企画(※1)のイベントに参加したんですね。
郁:そうやね。もともと私のおばあちゃんちが宮崎で、ここよりももっと田舎で。隣の家が何百メートルも先みたいな場所にあって。私は小さい頃からおばあちゃんちが大好きで、そっちで暮らしてもいいかなと思ってたのですが、そこよりかは少し都会なところで、いいとこないかなと探してたというのもありました。それで丹波に一回来てみたら、「なんでこんな楽しいとこがあるんだ!」って、本能的に「ここに行こう」と引き寄せられました。
春:一回目で!イベント中に大きな出会いがあったということですか?
郁:イベントを通していろんな人とお話できたのだけど、特にピーチさん(※3)との出会いが印象深くて、「こっちに移住をして暮らしてたら、私冷え性治ったよ」とか、旦那さんのこととかも話してくださって。こっちに来ても子供と関わることをしたいと思ってた私にとって、ピーチさんのような暮らし方はすごく勉強になり、「いろいろ教えてもらいたい!」と思いました。なによりも、イベントを主催している花田さんがとても楽しそうにしていたので、イベントの一ヶ月後に「移住したい!」と花田さんに連絡をしたら丹波中いろいろと案内をしてくれて。その案内してくれた内の一つが、ここ、竹岡農園でした。
春:なるほど〜!なんだか素敵な出会い方ですね。どうですか?それから1年経って・・・?
郁:めっちゃ楽しいよ〜。来る前は、旦那さんと農作業はするだろうなっていうイメージはしてた。でもこんなに忙しくなるとは思ってなかったかも(笑)。
春:ここ(笛路村)は丹波市の中でも小さな村ですよね?村の方とのお付き合いとか、不安はなかったですか?
郁:特になかったかな。旦那さんがしっかりと基盤をつくってくれていたから。こっち来てからも、農業をしていくこともあって村の人たちは温かい目で見守ってくれている気がするし、二人で畑にで出たりとかしてたら「よう頑張っとるね」って声かけてくれるし。結婚したことで、「ここで頑張って行ってくれるんだな」って思ってもらえて、私達も受け入れてもらえてるんだなって感じています。おばちゃんたちもとても気にかけてくれて、おかず一杯つくったらお裾分けをしてくれるし(笑)。「食べ助けして〜」って。うちも農家だからお野菜つくっているのは知ってるけど、お野菜ができたら「ちょっと持っていって〜」って言ってくれはったり。そんなんないよね、都会だったら。

お野菜配達中の竹岡ご夫婦!左が郁子さん、右が旦那さんの正行さん

村のおじちゃんとお話してる正行さん

春:そんな暮らしの中で、これから取り組みたいことはありますか?
郁:自分の保育士だった経験も活かして、自然の中で子供たちがのびのびと遊べるような環境をつくっていきたいなと思っています。先生が人だけでなく、ここの里山にある自然や、生きる知恵をたくさんもったおじちゃんやおばちゃんたちで、決められたカリキュラムにそって答えのあるものを学ぶのじゃなくて、自分で興味のあることを自らが学び、自然の中で生きる力が育つ、そんな「里山保育」ができたらいいなと考えています。

竹岡農園と笛路村をフィールドに2014年8月に開催した「ナチュラルキャンプ」。

障がい児を中心に集まって、川遊びやBBQなど、自然の中で思いっきり遊びました。

春:それとっても素敵ですね。代々受け継がれて来た生活の知恵とか持っているおじちゃんおばちゃんがたくさんいて、綺麗な空気と水、自然の中にあるこの笛路村だったら、いや、ここだからこそできることな気もします。

 

竹岡農園から臨む笛路村の景色。風が気持ちのよい丘の上。

郁:そうそう、これからが本当に楽しみ!
春:私も楽しみです!幼稚園で働いていた時から考えてたことが、本当に具体的になってきていて素敵です・・・・!では最後に、竹岡さんから「これから丹波暮らしを考えたい!」という人に一言お願いします。例えば、丹波での暮らしを考える際に「こういうことしたらいいよ!」とか、「こういうこと考えるの大事だよ!」とか。
郁:あ〜、そうやね・・・。「観光」的な感じでこっちにくるよりも、「農作業体験」のような形でこっちにくるのがいいなと思います。ここで生活している人たちの暮らしも、すごく近くに感じられるし。「ガイドブックとか読んで、ここのカフェ行きたいとか、ここのお店いきたい!」ってのも大事だと思うけれど、自分で暮らすことを考えるのであれば、地元で生活している人の話しを聞いてみるとか、こっちの雰囲気を知るのがまずはいいんじゃないかなと思います。丹波は良い人が多いところなので、その良さが分かると思います。
春:本当にそうですね!自分の心の動きに素直で、体験することを大切にする竹岡さんの、これからの取り組みが楽しみです。ありがとうございました!
郁:うん、ありがと〜

 

※1 竹岡農園・・・・・HP http://www.takeokafarm.com/
※2 フラワー企画・・・HP https://www.facebook.com/hanachanhouse
※3 ピーチさん・・・・丹波市春日町に暮らしている女性。森林インストラクターで野遊び研究家のマリオさんこと山崎春人さんの奥さんで、野草の料理などに詳しい。

 

 

竹岡農園ホームページ
URL:http://www.takeokafarm.com
竹岡農園のブログ
URL:http://takeokafarm.blog25.fc2.com

 

interview / writing:田代春佳