移住者インタビュー

Vol.74 / 2020.10.12

まちづくりを志し大学進学、そしてUターン

足立 芽生さん

2017年から丹波市が実施している「お試しテレワーク」企画で丹波市の関係人口として毎年移住者のインタビューに来てくれる、東京在住のライターFujico氏。
普段、東京に住んでいる彼女の目には、丹波市の人たちの暮らしはどんな風に映るのか。
この記事は、彼女が丹波市での滞在期間中に出会い、交流された方へのインタビューをまとめたものです。
丹波市に興味がある方はもちろんのこと、丹波市に住む方々も楽しく見ていただければと思います。

※この記事は、緊急事態宣言が解除された6月後半に行ったインタビューです。東京から丹波市に来る際にFujico氏には新型コロナウイルス感染の可能性がないかチェック頂き、十分な感染予防実施の上移動とインタビューを行って頂きました。

11年連続で人口が減り続けている日本。丹波市も例外ではなく、昭和35年には約8万人だったのが今や約6.3万人ほどに減少した。そんな中、各地で行われているのがまちづくりだ。地域を盛り上げるため、昔のような賑わいを取り戻すために、多くの人がまちづくりに取り組んでいる。そんな中、丹波市にも高校生の時からまちづくりに取り組んでいる人がいる。その人が、今回インタビューをした足立芽生さんだ。彼女はまちづくりに関する知識を得るため、大阪の大学に進学。そして卒業とともに丹波市に戻ってきた。なぜ彼女は丹波市のまちづくりに力を注いでいるのか。彼女が目指す丹波市の未来とはどのようなものなのか。なかなか20代が地元に戻らない問題がある中でUターンをした足立さんに、丹波市の魅力を含めお話していただいた。

 

高校でまちづくり部に所属。地域貢献に精を尽くす

 

高校を卒業するまで丹波市で育った足立さん。高校時代はまちづくり部という部活に所属し、地域貢献をしていた。

 

地域ボランティアやお祭りの手伝いなどを中心に、どうしたら地域に貢献できるかを考えて実行していました。

 

 

まちづくり部では部長に就任。ボランティア活動だけではなく、お祭りで子ども向けのコーナーを企画運営するなど多岐に渡り地域で活動した。足立さんは、この部活に入ったことにより、地域を活気づけるにはどのようにしたら良いのかを考えるようになったという。

 

 

大学ではまちづくりについて学びたいと思い、公共経営や経済、行政の仕事などを学べる場所を選びました。

 

大学で学び、力をつけて丹波市に戻りたい。そんな思いで足立さんは「必ず戻ってくるから」と地元に言い残し、2016年に丹波市を離れた。

 

 

 

地域貢献やNPOを学びに大学へ進学。丹波市を離れる

 

 

まちづくりにはNPO(非営利団体)が必要ではないかという仮説のもと、大学でNPO法人設立のための法律や経営の勉強を中心に学んだ足立さん。さらにお金が好きだという彼女は、経済や観光についても学んだ。

 

 

日本は既に、行政だけでは対応しきれなくなっています。そのため民間の企業やNPOが補填をしていくわけですが、どうしても民間企業だと営利追求になってしまう。そこでNPOが行政をカバーすることが大事だと感じました。

 

 

まちづくりを活発化させるためには、まちの体制を整える必要がある。NPOが行政を支えられると分かった一方で、丹波市ではNPOの力はまだまだ弱いと感じたそうだ。

 

 

NPOの力を強くするには、まず地域の人にNPOについて理解してもらわないといけません。なので大学でNPOについてしっかりと学び、自分自身が説明できるようにならなければと思っていました。

 

そんな強い意思を持ち続けた足立さんは、大学で学べることはほぼ学べたという。卒業したてだった彼女だが、この間まで学生だったとは思えない程自分の思いや考えをしっかりと話していたのが印象に残った。

 

 

 

本格的にまちづくり参画のためUターン、希望の職種に就く

足立さんは約束通り地元に戻るため丹波市で就職活動を行い、丹波市市民活動支援センターで働くことが決まった。

 

市民活動支援センターでは地域自治の支援を行ったり、市民活動についての相談などを受けたりしています。市民活動を既に行っている団体を情報誌に掲載するなど、PR活動にも取り組んでいます。

 

 

 

2019年10月22日にオープンしたばかりの市民活動支援センターに、足立さんは在学中から週1で働き始め大学を卒業して本格的に就職した。その中で彼女は、地域の自治協議会や自治振興会の支援を行っているという。

 

私たちから地域自治組織に課題解決のための提案をすることもあります。しかし、これがなかなか難しくて。最初は提案内容に前向きだった地域も、説明をしに行くと以前とは真逆の答えが返ってくることもあります。

 

例えば新型コロナウイルス感染防止対策のため、外で打ち合わせもしにくいこの時期。Web会議サービスのZOOMを導入してはどうかと提案してはみるものの、なかなか利用する意義を見出してもらえなかったり、ハードルが高く敬遠され上手く事が進まないのが現状だ。

 

外からの情報を私たちが取り入れ、それを地域が受け入れられるようにお話していく。通訳のような役割を担っています。

 

 

 

 

自立した自治協議会の活動が住民の暮らしを豊かにする。そして最終的に市民が行政と協力して地域をつくり、何年経っても住み続けることができる地域にすることが足立さんたちの目標だ。

 

行政の交付金だけで地域の活動を継続させるには限界があります。自分たちで活動し、自分たちができる方法でまちをまわしていくのが本来の形。それができるように頑張りたいです。

 

丹波市を離れたからこそ、わかったこと

 

丹波市に戻り、まちづくりの活動をする人たちを応援する中間支援を行う足立さん。ただ、一度このまちを離れたことで気づいた魅力もあったという。

 

丹波市の魅力、それは水です。私は丹波市の青垣町出身なのですが、小さい頃から丹波市のおいしい水を飲み続けていてそれが当たり前でした。しかし大学進学のために大阪へ移住したことで水が変わり飲めないと思ったことがありました。今まで自分が飲んでいた水は、とてもおいしい水なんだとその時気づきましたね。

 

 

 

自然豊かな丹波市の当たり前は、別の土地では当たり前ではない。それがわかったことで、足立さんはより地域への愛情を深めたのではないだろうか。そして、そんな丹波市が廃れていってしまうのは嫌だと思ったからこそ、何か地域のために頑張りたいと思い彼女は努力を積み重ねてきた。

 

 

まちづくりの面でも、高校生のときにもっと積極的に活動すればよかったんだなってことがわかりました。当時は子どもだからできないと思っていたことも、手を上げていればできたんだって。

 

 

高校生だからと躊躇していた地域活動の参加も、本当は躊躇する必要がなかった。自分はもう高校生に戻ることはできないが、今の高校生には頑張ってもらいたいので、積極的にPRしていきたいと足立さんは言った。

 

 

 

 

自分自身のものの見方も変わりました。昔よりも広い視野が持てたと思います。

 

一度外に出て学んだからこそ感じられることがある。ずっと丹波市にいることも良いことだけど、外に出て学び、それを大好きなまちに持ち帰る…それがまちに活かされたら、それほど嬉しいことはないのではないだろうか。

 

今後目指したい、私が考えるまちづくり

 

まちづくりとはいろいろな形がある。建物を作って商業施設にし、人を呼び込むこともまちづくり。観光化対策もまちづくり。その中で、足立さんが今後取り組んでいきたいまちづくりはどのようなものなのだろうか。

 

 

防災についての意識を、若い人に高めてもらえたらと思っています。大人が働きに出ている間、子どもや高齢者はまちに残っています。大人がいなくても学生たちで対策が取れるように、今からでも防災を学ぶべきです。

 

 

 

 

どこが避難所なのか、災害が起こったときにどう行動すればいいのか。いつ何時何が起こっても、まちにいる高校生を筆頭に、子どもたちが地域を引っ張れるようになる必要があるという。そして防災について取り組む場所に、高校生を巻き込んでいきたいそうだ。防災もまちづくりの大事な一部なのだと気付かされた。

 

 

あとは、地域の方々に金融教育について伝えていきたいと考えています。何か活動を行う人たちにお金の価値をわかってもらうことで、社会がきちんと回るようになってほしいなと思います。

 

 

例えば人件費。この人はボランティアだから無給でいい、ではなく、お金を出して当然のことをやってもらっているという意識を持つ。その意識は、お金の価値から見えてくることであり、それを考えることによってボランティアする側もボランティアをお願いする側も対等でいることができる

 

 

観光とかももちろん大事ですが、防災の意識で自分たちの居場所をしっかりと確認できたり、お金の価値を大事に思う地域であったり…。そういう土台がキッチリしている方が、若い人も移住しやすいと思います。

 

 

 

 

人とはまた違う切り口から、丹波市を盛り上げていこうとしている足立さん。こうやって地元を思いやる若者が一人でも多くなったら、より丹波市は「帰って来たい場所」になるのではないかと彼女の話を聞いて感じた。今後10年、20年。足立さんたちの頑張りがどのように丹波市を変えていくのか、とても楽しみだ。

編集部が足立さんに最初にお会いしたのは高校生の時。まちづくり部の活動で地域の方とコミュニケーションを取るのが本当に楽しそうで、「ああ、こういう子たちが戻りたいと思える地域になると良いなあ」と感じていたことを思い出しました。結果Uターンした足立さんに出会って、当時と変わらない素直で地域のことを真っ直ぐに想う気持ちを聞けて「これからの丹波市出身の若者が、地元に戻って活躍するモデルになっていくんだろうな」と感じました。今後も変わらない素直な足立さんが丹波市を元気にしていく姿に期待です!