移住者インタビュー

Vol.85 / 2022.03.16

しっかりと軸を家族で考えて東京から移住。望む子育て環境を得るために。

尾形 真依子さん

こちらの記事は自身も移住者である丹波市移住定住相談窓口メンバーが行なった先輩移住者のインタビューです。新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮し、検温とマスク着用にてインタビューを行っておりますが、写真撮影時のみマスクをはずして撮影させて頂いています。

子育てに関する理想の環境を求めて、都市部から地方へ移住を考える方も多くおられます。今回お話を聞きに伺った尾形真依子さんは、東京で購入した一軒家を手放して、ご家族で丹波市に移住してこられました。旦那さんも尾形さんも会社にお勤めで、転職と家を売却して移住する、という大きな決断をされました。その分、しっかりと考えて可能性を模索した尾形さんに、移住前と移住後で変わったことや考え方についてインタビューしました。

 

実家のある三田市に近い山間部で。自身の仕事と、望む子育て環境を考えたことがきっかけだった。

 

尾形さんは元々丹波市のすぐ南に位置する兵庫県三田市のご出身。移住して来られる前は東京に購入した一軒家に住んでおられました。その時に感じていた、仕事疲れと、子育て環境が移住の準備を進めるきっかけになりました。

 

 

移住を考える最初のキッカケは私でした。ちょっとサラリーマン疲れ、仕事疲れがあって、自然の中で過ごしたいなあと。東京に住めない、地元に帰りたいと旦那さんに相談して。帰る場所は決めてなかったけど実家の近く、ちょっと山の中に入ってみようって話もしました。

 

 

もう一つは、子どもが出来た時に東京で感じたことなんです。家の真横に6車線くらいの道路があって、子どもが通う小学校は高速道路の横になる予定で、そこに通うことになる・・

なるべく東京の中でも緑が多いところを選んで住んだんですが、実際子どもにとってそういう環境ってどうなんだろ・・ってずっと疑問に思っていたんですね。

 

子どもには自然の中で自分で気づいて、自分で行動してみて「こういう発見があった」っていう事を大事にして欲しい。そういう想いが強かったんです。となると、そういう体験は東京では中々難しいですよね。

東京でコンクリートに囲まれて、子どもと歩くのも車に気をつけて・・っていうのが、私の子育ての価値観と大きく違ったんです。私自身、緑がないことに疲れたってのもありました。

 

 

 

お話を聞かせて頂いたこのお家は、尾形さんのご両親の実家で、三田市に住居を移してからも度々親族で訪れていた場所でした。そんなこともあり、ご縁から移住先の候補地として丹波市を検討したそうです。しかしながら、東京で購入していた家を手放すという決断はもちろん家族にとって大きな事だったようです。

 

東京で買っていた家を売った上で移住するという決断だったので、自分達で何がしたいかっていう軸を全部かきだしてから来ました。明確なコンセプトをしっかり持って、自分達がどういう暮らしがしたいかをお互いすり合わさないと、怖いねって思っていましたね。

 

ご夫婦で同じIT関係の会社に勤めていた尾形さん。こうして軸をしっかりと決めつつ、自分たちの仕事がリモートでできるのか、尾形さんは一度転職してフルリモートの仕事にもチャレンジして、その働き方が現実的かどうかを含めて検討したそうです。

 

 

実際に移住をしてみて、変わったこと。

 

検討していた期間がコロナ禍だったこともあり、都心だと移動に神経を使っていたがこっちだと自由にできる点が良かったと尾形さん。子育てを軸に、特に良かった点を教えてくれました。

 

 

 

1つは、子どもの夜泣きも減って睡眠をしっかりとれているのが一番いいですね。丹波市に移住してきて、環境が変わったストレスもあるかと思うんですが、風邪をひとつもひいていないんです。手足口病とかはやってても一度もかかってなくて。

 

2つ目は、ご飯をよく食べるようになったこと。元々食べる子なんですが、野菜嫌いもあったんです。今は食事の時にも、これは誰がつくったもの?って聞いてきたり食に対して身近になったり。

 

 

3つ目は、そこかしこに虫が沢山いることです。「この虫何?」と聞かれて、一緒に育ててみようかってなったり。こうだね、ああだね~っていうように、一緒に会話が沢山出来るようになりました。

 

子育て環境について、とても満足しておられる様子の尾形さん。とは言え東京で得られる教育の質や情報の多さに比べると、機会が少なくなってしまうことをご夫婦ともに考えませんでしたか?と質問してみました。

 

正直なところ、不安はありました。東京に住んでみて、学校だったり、お受験だったり、学力に関してはやっぱり強い。早期に取り掛かったり。多くて充実していると思います。

 

もちろん主人も含め、相談しましたが「え、習いごと?そんなのしなあかんの?外で遊ばせてたらいいんちゃう?親の関わり次第じゃない?」って。そこはお互い共通の考えがあって。

大きくなったら都会で勉強してもいいと思うし、自分の好きなことをしたらいいのでは?という感じでしたね。

 

また、ご両親の実家はしっかり住もうと思うとリフォームも必要で、自分たちに合うかどうかを検討するためにも現在は近くの賃貸アパートを借りて暮らしておられる尾形さん。ひとつひとつ、準備を丁寧にされているご家族だなと感じます。

 

 

 

現在のお仕事。地域おこし協力隊として。

 

20代の頃、お勤めで仕事をしながら地域おこし協力隊に興味を持っていたと話す尾形さん。現在のお仕事についても伺いました。

 

地域おこし協力隊のお仕事としては、生物多様性がテーマです。地域の人に生物や植物が沢山いるんだよってことを伝えるのが役割。具体的に何かこうしましょうっていう活動内容ではないんですが、今は青垣地域が丹波市の中でも一番生物が多いのでここから発信しようと思っていますね。

生き物ふれあいの里という施設があるんですが、今そこでお仕事をしながら、来春には子どもたちの出張授業を保育園とか未就学児を対象にやろうかなと話が進んでいて。

 

 

移住してきて、家族にとって環境は本当に良かったです。今後は子ども向けに自然学習というか、遊ぶ中で考えたり、自分でやってみたりできる機会をつくったり、そういうことをやりたいなと思っています。

 

協力隊のお仕事として、生物多様性(生物を知ってもらうこと)がメインなので、自分のやりたいことと合わせて、生き物と子ども教育ができたら。前職が人と人を繋ぐ中間的な役割だったので、今回もみんながしたいことを繋ぎ合わせられるような、つなぎ役になれたらいいなあと思っています。色んなボランティア団体やNPOも多いので、自治体や学校をつなげたり、そういう役割になれたらいいですね。

 

 

 

 

東京からの移住、子育てに求めていたこと、今のお仕事と今後やりたいこと。話を聞けば聞くほど、同じ軸で考えがあるのだなあと感じさせられる尾形さん。大きな変化を伴う決断だからこそ、しっかりと考えて準備をされてきたのだなと感じます。まだ移住してからの期間は短いですが、きちんと準備をして考えて来られている尾形さんのご家族なら、理想の暮らしを選び取っていくんだろうなと感じさせられるインタビューでした。

編集部も今回初めてお会いした尾形さん。地域おこし協力隊としてのお仕事を始められたばかりですが、移住決断時の様々な考え方やプロセスの踏み方はこれから移住を考える人にとってお手本のように感じました。協力隊の活動含め、今後の活躍も楽しみです。