【起業インタビュー】mamimumemo book book

足立真美さん・光洋さんご夫婦~子どもも大人も楽しめるライブラリカフェ~

移住した経緯を教えてください

(真美さん)
移住前は実家のある綾部市にいて、丹波市には長女が3歳の頃に来ました。丹波市は主人の実家があってしかも長男なので、元々子どもに転校させない為に長女が小学校に入るまでには引っ越しをと考えていたんですが、身内の不幸や介護が重なって時期が早まった感じでした。

移住前はどんな暮らしをしてましたか?

(真美さん)
主人とは写真の専門学校時代に出会って、当時は顔見知り程度でした。卒業後、主人は東京にカメラアシスタントとして行ったりしましたが、カメラの道を諦めて帰ってきたのがきっかけで、お付き合いし結婚しました。

綾部市にいた時から私は専業主婦で、主人は綾部市の製造工場で働いてました。

以前住んでいた場所と、仕事や生活での違いは何かありますか?

(真美さん)
生活面では、両市ともよく似た土地柄ですが、丹波市は子育てしやすいと思いましたね。人がいい意味でおせっかいで、人との繋がりやすさを感じます。主人の地元というのも大きいし、綾部は知らんかっただけかも知れませんけど。

(光洋さん)
妻は自称人見知りなんですが、ママ友が知らん間にどんどんできてって、僕よりも丹波市のことをよく知ってますね(笑)

(真美さん)
知らない事が不安なので、知らないところだからこそ情報を集めたいというのはありましたね。仕事に関しては、主人は去年まで変わらず綾部市の製造工場勤務で、ずっと通ってました。私が絵本の移動販売を始めたのは2020年になります。

丹波市での暮らしはいかがですか?

(真美さん)
冬は寒いけど、綾部の時よりは雪が少なくて住みやすいですね。子どもは今3人いて、一番上は通信の高校に行ってますが、下2人は学校に行ってなくて。無理にいけとは言いたくなくて、でも自分も仕事をし始めたので、学校から離れてしまったなあと。

(光洋さん)
学校でも家でもない、子どもの居場所や社会との接点があるのはいいなというのもあってお店を始めた側面もあります。学校の先生も店にきてくれたりしていて、ありがたいですね。

なぜ本屋さんを始めようと思ったんでしょう?

(真美さん)
絵本が好きになったきっかけは、「大きなカブ」という絵本で、専門学校の先生が長女の出産祝いでくれたんですね。おじいさんの表情とかがとても面白くて、『大人ものめり込める絵本も沢山あるんだな』と思ったんです。今、大人も子どもも楽しめる絵本を取り扱っているのはこれが軸になっています。

子どもが生まれてから、絵本を読み聞かせしたりしてたら、自分の方がすっかり好きになっちゃって。そんな時に、京丹波町に「絵本ちゃん」という、廃校活用で絵本に特化した本屋をされてるところがあって、ここは最高だなあと思って。憧れの場所で、こういうのが丹波にあればと思ったんです。でも、いきなり店舗を持つ資金がないから、移動式から始めたというのが経緯です。

丹波市で起業する際に懸念していたことはありますか?

(真美さん)
人が来てくれるかどうかは懸念してましたね。コロナ禍での開業だったので、出ようと思ってたイベントが結構中止になったりして、最初は手探りでした。本は仕入れてしまっていたので、自宅の敷地内で友人に声をかけて小さくはじめて。

それから出展できるように色んな人に話をつなげてもらって、次第に呼んでもらえるようになって。どうなることやらと思ってたけど、なんとかなりました。

当初からライブラリカフェもしたかったんですけど、人手不足と資金もなくて、もっと先になると思ってました。でも、主人がずっと通勤と夜勤で辛そうだったので、それならもう辞めてしまって一緒にしようと。

それから主人がクラフトコーラを作り始めて、製造や販売できる場所も欲しくなってきて、それもあって早く進みました。結果的にはなるようになりましたね。

店舗や住居はどうやって決めましたか?

(真美さん)
自宅は主人の実家で敷地内同居していて、店舗は敷地にあった農機具倉庫なんですが、そこは元々主人の祖父の工場で、豆腐のパックを作ったり、皮製品の加工をしていました。今使ってるテーブルはその時の作業台だったりします。

祖父が亡くなってからはただの物置になっていて、そのままではなくきれいにして子どもに渡したかったのもあって、店舗に改装しました。片付けが大変で、何回もクリーンセンターに行きました。

なので、他の選択肢はあんまり考えてなかったですね。住んでる場所の近くがいいとは思ってました。仕事とプライベートの境目はなくなってきた感じはありますが、休みの日はわたしはカフェには行かないようにしています。

(光洋さん)
僕は営業日前日じゃないと出来ない仕込みなんかがあるので、ほとんど毎日入ってます。今は境目がないことがむしろ楽しくて。仕事って感じでやってないところもありますけどね。

起業のための事前準備はされてましたか?

(真美さん)
とりあえず商工会へ入って色々相談してました。今後どうしていきたいのかっていう計画とか、補助金のメニュー、資金調達の面ではクラウドファンディングのやり方を教えてもらってやってみたりもしました。

当初の資金繰りはどうされましたか?

(真美さん)
自己資金と、後にはじめたライブラリーカフェはクラウドファンディングでなんとかまかないました。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

(真美さん)
ゆったりしてます(笑)そもそも、必死になってまで絵本を売らなあかん、というのはなんか違うなと思っているんですね。それもあって、ライブラリカフェでは現状、必ず何か注文しないといけないということにしていなかったりします。

知らないお客さん同士で話がはじまったり、人が繋がる瞬間が見れたりするといいなあ、嬉しいなあと思いますね。小さいお子さんがゆっくり遊んでる間に、お母さんがゆっくりしてたり、休憩時間になっていいなあと。絵本好きの大人だけも来られたりしています。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

(真美さん)
色んな人に出会えるようになって、人とのつながりが濃くなった気がします。パートに出るとかは考えてなかったし。最初始めた移動販売は、働いている感覚はなかったし、商売っ気がなさすぎてよく怒られてるんですが、売り込むのは違うかなと。

(光洋さん)
以前から妻は『働いたら死ぬ!』ってずっと言い続けてたんですよ(笑)

僕としては、ストレスからの解放ですね。以前はお盆も正月もなかったし、夜勤もあったし。それで体もしんどくて、深酒してってその影響で家も暗くなるしの悪循環やったんですけど、それがなくなって。

(真美さん)
よくなかったこととしては、強いていえば収入が安定しない点ですかね。一定以上にいい時もあるので、安定の定義が変わっただけといえばそうなんですけどね。

将来の展望はどのようにお考えですか?

(真美さん)
ライブラリカフェでは、大人も子どもも、何か始めたい人を応援できるようにしたいんですよね。菓子製造も許可とってますし、キッチンのレンタルも可能にして。今おいてる駄菓子なんかは子どもが店長だったりします。自分たちで、何を置いて、いくらにするか考えてもらって。ワークショップとかはもっと増やしたいですね。

移動式販売もあの規模感で続けていく予定です。80冊程度しか乗らなくて、決して利益が出るものではないんですけど、やっぱり喜んでもらえるのは嬉しいので。

起業を考えている人へのアドバイスをお願いします

(真美さん)
事業をするなら、夫婦どっちかだけでやるよりも、一緒にがっつりやっちゃう方がいいかなと思います。主人と仕事するのは案外楽です。カフェが始まるまではずっと一緒にいましたが、仕入れの関係で役割分担が必要になってきて、別行動が増えましたけど、それでいい距離感が保てるようになってきたかなと。

(光洋さん)
どんな雰囲気になってるとか、今どんな状況かもすぐ共有できるし、伝えやすくなるし。どっちかだけがやってて、その体験もなしに口だけで説明して、納得してもらうってのはやっぱり難しいです。やるんなら一緒にやってしまう方がいいですね。

(真美さん)
移動式の時は考え方の違いとかもあったし、食い違うこともあったけど、それもなくなったので。最初、抵抗感があったとしても、続けていればこれまでと違うすみ分け方ができてくるんだと思いますよ。

※この記事は2022年10月18日に取材した情報をもとに作成いたしました。

事業者名  mamimumemo book book
代表者名  足立真美
 669-3641
所在地  兵庫県丹波市氷上町絹山86
instagram  https://www.instagram.com/mamimumemo_bookbook/