【起業インタビュー】合同会社ゴキゲンてくのろじ

湯山加奈子さん~ママさんや子ども達が、ITの力で地域に必要とされる存在になることを目指す~

移住前はどんな暮らしをされてましたか?

静岡県の御殿場市が出身なんですけど、沼津高専を卒業した後、三島市のポンプ作ってる会社に新卒で入って1年半で辞めて、その後車のディーラーで事務して。

20代後半で「やっぱりパソコンは大事。自分で何か出来るようになっておきたい」と思って。

高専でプログラミングを習ってたんですけど、当時は訳わからなさ過ぎて断念したんですよ。

一から教えてくれるっていう東京の会社を見つけて、それで30歳までシステムエンジニアをしてました。

移住した経緯を教えてください

丹波市に住んでる友人から、『一回遊びに来て』って言われてきたのが2013年4月でした。

シェアハウスで国際交流関係の食事会みたいなのがあって、そこで色んな人と出会って。

後日、市役所の人とも話す中で、市内のママさんたちにパソコンスキルを身につける場が欲しいとか、観光のアプリ作りたいとか、地域側の困りごとなんかを聞いて。

あんまりちゃんと理解してなかったけど、『本当にやるなら、東京の仕事を休んでもいいよ』って話をして。

それからちょこちょこ足を運んでたら、住む家として新たにシェアハウスが用意されて、仕事は市の魅力を発信する会社として株式会社ご近所が設立されて。

そこに雇用される形で2013年11月頃に丹波市に移住しました。

東京にいた時から個人事業主になってたんですけど、株式会社ご近所は副業OKだったので廃業届を出さずに、平行して仕事してました。

2014年10月以降はまた個人事業主になって、2018年頃までは東京の仕事と兵庫県の事業なんかを主にやってました。

以前住んでいた場所と、仕事や生活での違いは何かありますか?

東京の時はなんだかんだ契約社員みたいな働き方をしていて、丹波市にきてからは“個人を試されている働き方”になったような気がします。

生活面では、以前はコンビニ食とか外食ばっかりだったけど、野菜とかお米とかいっぱいもらうので、自炊するようになって外食しなくなりましたね。

最初はしょっちゅう『その食生活やばいで』って言われてました(笑)

移住してもう10年なので、いよいよ移住者扱いされなくなってきた感じです。

なぜIT業を始めようと思ったんでしょう?

合同会社ゴキゲンてくのろじは最初、パソコンスキルを身につけたい・仕事したいっていうママさんたちでweb制作をメインにしようと思ってたんですよ。

でも、納期がある中、常駐できるママさんも居なくて制作案件は難しいなと。

そこで「今いるメンバーでできることをやろう」ってことで、instagramの投稿やライティング等、情報発信の運用面を支援する業務をやっています。

丹波市で起業する際に懸念していたことはありますか?

懸念は色々ありましたけどもう、流れるままにやってきた感じですよ。

ママパソの活動自体は株式会社ご近所の頃からやってたんですけど、仕事として受ける以上は一定以上の成果物にする必要があるから、それで結局外注に出すことも多くて。

だから、ちゃんと形にするなら、いつかは法人化しないといけないなと思っていました。

個人事業主として独立した後、一人ママさんを雇用したいなと思った時に、雇用の仕方について商工会に相談しにいったんです。

それで起業塾に参加した時に、女性起業家の補助金の話があって。

これまで補助金の類をもらったことがなかったんですけど、『それをもらうにはどしたらいいですか?』って聞いたら、『法人化したらもらえるよ』って言われて。

それならいっそのこと、と思って法人化することにしました。

2018年10月に開業して、今5年目です。未だに資金面は苦労することも多いです。

当初の資金繰りはどうされましたか?

最初、起業の時は自己資金と、親に借りたりしてかき集めた感じでしたね。なので、金融機関からの借り入れはしませんでした。

起業のための準備はどんなことをしましたか?

準備っていう準備はしてないというか、スキル自体は元々それなりにあったし、丹波市に来てから5年くらいしてからの起業だったので、人脈も出来てきてたし。

困ってる人がいて、それを助けている間に、それが自然な形で準備になってたって感じですね。

起業をする上でなぜ丹波市を選んだんですか?

丹波市にきたのもある意味たまたまで、子どもの頃の同級生とかではなく、行政関係者とか経営者との新しいネットワークがここで出来たこともあって起業することにしました。

人との縁がここにあるからですね。住む場所とか事業所の場所も、シェアハウスとかコワーキングスペースになっていた家をうまく活用させてもらいました。

起業する際、具体的な手続きについては誰かに相談されましたか?

商工会にお世話になりました。当時は春日地域にあったチャレンジカフェで。そこがやっていた起業塾では女性起業家補助金を知ることができました。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

関わってくれているみんな、和気あいあいと楽しく出来てるんじゃないかなって思います。

収支計画的なところでいえば、去年からちゃんと売上目標を立てるようになり、それのおかげもあってなんとかやっています。

ただ、「ママパソメンバーの働きやすい環境を」って思ってやってるけど、一方的になってしまったり、ただのわがままに付き合う感じになってしまったり、手を入れ過ぎて過保護な感じになってしまうのは違うなと思うので、バランスがいるなあって思いますね。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

よかったのは、言ってたことがちゃんと形になってきたこと。やっぱり自分の都合通りに組み立てていけるのがいいですね。

あとは兵庫県の中小企業家同友会に入ったのがよかったです。経営の指針書を作ったりとか、事業を継続していくための勉強ができるのが色々助かってます。

よくなかったことは特にないかな。強いて言えば、自分の事だけじゃなくなったので心労が増えた(笑)

将来の展望はどのようにお考えですか?

2032年を目標に、ママパソは地域の情報発信を担う存在にしていきたいですね。ママさんが地元企業の役に立つ存在に。

もう一つは、卓越した知識を持つ子どもを集めて、ITの面で地域にとって必要とされるような存在になるってことですね。

本当は子ども向けのプログラミング教室とかもっとやっていきたいんですよ。

向こう10年で、いけるところまでいきたいです。

起業を考えている人へのアドバイスをお願いします

IT関連でいうと、街中で働く人は消耗してる人が多いと思います。

他よりも早さを求められたり、案件も圧倒的に多いのにお客さんの顔も見えなかったりするしで。

その点、地方には確実なニーズがいっぱいあって。「不便なことが全てニーズ」じゃないかと思ってたりもします。

ちょっとのスキルで人の役に立つことがいっぱいあるし、本当に人が喜ぶための仕事は、こっちの方が多いし、しやすい。

その中で、今出来ることをコツコツとやって、信頼を勝ち取って積み上げていく。

そういうのって、地方で仕事する方が楽しいんじゃないかと思いますね。

 

※この記事は2022年10月31日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名  合同会社ゴキゲンてくのろじ
代表者名  湯山加奈子
 669-4134
所在地  兵庫県丹波市春日町古河257
電話番号  090-4085-2295
webサイト  https://gokigen.tech/