【起業インタビュー】HeartBeatsCOFFEE

岸上将博さん~普段の⽇常にちょっとした刺激をくれるカフェ~

丹波市へUターンされるまでの経緯を教えてください

丹波市山南地域の生まれで、高校は福知山成美高校を卒業後、美容師を目指して東京へ行きました。通信制の専門学校で、在学中の2年半も働きながら通えたので、学費を自分で働いて払えるっていうのが理由で行きましたね。

結局4年間程東京にいて、別に何も嫌なことはなかったんですけど、ふと単純に「地元の友達と遊びたいなあ、楽しそうやなあ」って思って、帰ってきました。今思えば、「辞めへんかったらよかった」ってちょっと後悔というか、もったいなかったかなと思ったりしますけど(笑)

丹波市へ帰ってきてからも3年程は美容師してたんですが、その後工場へ転職して、結婚を機に氷上地域へ引越し。そして脱サラしてカフェを開業したのが2022年5月ですね。

東京から地元へ帰ってきた時、久しぶりの地元はどんな感じでしたか?

東京から丹波市に帰って来て、やっぱり最初は「不便なところが多いんだなぁ」と感じましたね。元々住んでいた訳ですが、移動は車がないと厳しいし、電車の場合でも1時間に一本とか、駅も遠いし。コンビニへ行くにも車がいるのは不便というので、最初は結構後悔もしたかも。

けど、やっぱり地元は人が温かいし、優しいですね。そこが一番の魅力かなぁと。空気も綺麗し。今はこれでよかったと思いますよ。

なぜカフェを始めようと思ったんでしょう?

コロナ禍になって、コーヒーにはまったことが一番影響が大きかったですね。妻から『いいコーヒー屋さん見つけたから行こ』と誘われて。普段からコーヒーは飲んでましたけど特別興味がある訳じゃなかったんですが、そこのコーヒーがとても美味しくて。「こんなコーヒー毎日飲めたら最高やなあ」と思って、あれこれ研究し始めました。

焙煎方法や豆の挽き方、お湯の温度とか、色んな要素で味が変わっていく、その奥深さが面白くて。もっとコーヒーを勉強したいと思って、平日は会社員をしながら週末だけ福知山市のカフェで働かせてもらうようになって、「自分でもお店できそうだな」と感じて開業したっていう流れですね。

カフェで働いてる間に「自分でやりたいな」ってどこか思ってたんですよ。コロナ禍の自粛モード全開だった当時、平日の仕事内容は嫌いじゃなかったんですけど現状に不満もあったし、「いつか自分一人でやりたい」っていうのがずっとあったんですよね。

丹波市で起業する際に懸念していたことはありますか?

開業前に株式会社まちづくり柏原がされている「あっとかいばら」というチャレンジショップに出店して、ある程度感触を掴んだ上での開業だったんですが、「ほんまに人来るんかな」っていうのが心配でした。

開業時もコロナ禍でしたし、お店が大きな道路に面してないし、宣伝方法もSNS一択やったので、それでちゃんと皆さんに知ってもらえるかが不安でしたね。国道沿いは家賃が倍以上かかるし、それは難しい。「とにかく宣伝頑張るしかない!」って感じでした。

当初の資金繰りはどうされましたか?

結構がっつりと改修したので、退職金も使いましたし、金融機関から借り入れもしました。起業の準備段階から商工会に資金繰りも含め相談させてもらってたんですが、相談してなかったら話が進まなかったと思いますね。

起業する際、具体的な手続きについては誰かに相談されましたか?

それこそ商工会ですね。最初、昔からの友人に起業のことを相談してたんですが、その友人が商工会の方を紹介してくれて、繋いでもらったんです。それまで商工会の存在も、どういうことをしてくれるところなのかも、全然知らなかったんで。

屋号の由来は何でしょう?

「HeartBeats」は心拍数っていう意味なんですけど、普段の日常に少しドキっとするような刺激が生まれるカフェになればなというニュアンスで決めました。

屋号名を決めるのは、めっちゃ時間かかりました。とにかく思いつくものを書き出して、「カッコいい、ダサい」で振り分けていって(笑)
「コンセプトはこの方向で」、とか考えつつ。いざ決めた後、人に説明するのは最初恥ずかしかったですね、なんか。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

最初の一年目、オープンした時はすごい沢山のお客さんにきてもらいましたけど、3~4ヶ月で落ち着いて下がってきて。「当初思ってたのと違うなあ」って感じやったんですけど、最近になってちょっとずつ、当初の計画通りに乗ってきた感じがありますね。まあ、終始思ってた通りにはいってませんけど、結果的に。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

一番よかったなと感じるのは「色んな人との出会い」ですね。本当に色んな人が来られるんで、色んな人と出会えるのがいい経験になっている実感があります。以前までの会社員ではまずこんなに出会えなかっただろうなと。お店してるからこそどんどん知り合っていけるんでしょうね。

よくないのは、やっぱり月々の売上が不安定なことですかね。会社員の時と比べると、どうしても収入がいい月と悪い月があるので、それが正直ストレスなところはあります。こればかりはしょうがないですけどね。

将来の展望はどのようにお考えですか?

今のお店は当初、「柏原地域やったらどこでもいいかな」と思って探してた時に、ちょうど隣のランドリーのオーナーさんが『空いてるからやってみる?』と言ってくれて始まったんですけど、やってみると結構手狭だと感じることも多いので、もうちょっとお店を大きくしたいという気持ちはあります。今すぐではないですけど、向こう5年くらいで検討したいですね。

あとは通販ですね。今もコーヒー豆とかを始めているんですが、今後はケーキも販売していこうかと準備をしているところです。元々メニューは、「俺はこれを出したい!」というよりは、「いい空間とか時間を提供したい」のが先で、その為のツールと考えてるんですね。なのでケーキも以前と今で全然違うし、来年もまた変わってると思いますが、自分がいいなと思うものを提供し、それをお店に来れなくてもお届けできるようにしたいなと。

起業を考えている人へのアドバイスをお願いします

何かやりたいことがある人は、とにかくあれこれと何も考えず、やってみてほしいなと思いますね。失敗するとか成功するとかは考えず、そういうのは横に置いといて。やりたいことをやって、行き当たりばったりを楽しんでみてほしい。

最初からうまく人なんて、まず居ないんで。まずはやってみること、ですかね。

 

※この記事は2024年3月5日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名  HeartBeatsCOFFEE
代表者名  岸上将博
住所  兵庫県丹波市柏原町柏原3252-1
instagram  https://www.instagram.com/heartbeatscoffee/