【起業インタビュー】NORTH OIL GOOD

庄司恵祐さん・美里さんご夫婦~コロナ禍を機に丹波へUターン、他にない商品を扱う古着屋を開業~

丹波市へUターンされるまでの経緯を教えてください

恵祐さん
僕は元々氷上町出身で、柏原高校を卒業して大学進学するタイミングで母方の実家がある横浜へ引っ越しました。在学中にアパレルでバイトしてたんですが、捨てられたものを新しい視点で「今着る」というのがいいなと思って、古着の世界に就職しようと決め、主に古着卸の直営店を切り盛りさせてもらったりしていました。

美里さん
私は埼玉出身で、高校卒業後は東京のデザイン専門学校に通ってました。正社員で働くのはなんか自分には無理だなと思って、バイトをいくつか掛け持ちしてましたね。音楽事務所でデザイン系の仕事するのが主で、他に銭湯の番台したり、たこ焼き屋さんやカレー屋さんで働いたり。色々やってましたね。

恵祐さん
その後、日本にまだない海外の新品ブランドを、国内に持ってくる仕事を経験してみようと思って転職活動をしてみたら、コロナ禍の影響で募集取りやめになったり、当時の東京は閉塞感がすごかったのもあって、結婚と同時に、妻と一緒に「丹波に帰るか」ということになって、Uターンを決めました。2021年の8月でしたね。

高校卒業ぶりに地元へ帰ってきた時、久しぶりの地元はどんな感じでしたか?

恵祐さん
毎年夏休みには丹波に帰ってきてたので、久しぶりって感じではなかったですね。戻ってきた当初はアパートに住んでたんですが、せっかく田舎で暮らすのにそれもどうかなと思い始めて。新築とか色々見て回ったんですけど、古民家をリノベーションするのもいいなと思うようになり、この家に辿り着きました。

でも、応募した段階で「5,6人待ってますよ」と言われて無理かなと思ったんですが、運よくまわってきて。ここは自分たちだけの橋があって、周りは見えないし、理想の環境だなと感じて、購入することに決めました。

なぜ古着屋を始めようと思ったんでしょう?

恵祐さん
この家を買ったら納屋がついてて。最初壊すかどうか話をしてたんですが、「壊すのはもったいないから残そう」となったんです。それで中を片付けて遊べる場所作ろうと思ってたら、その時に妻が「古着屋やろう!」と。家買った時は、お店をする予定ではなかったんです。

美里さん
大阪とか東京にも古民家っぽい古着屋さんはありますが、それは街中にあるから新鮮でかっこいい側面がある訳ですけど、そんなイメージでできたらいいなと思って。

恵祐さん
以前に自分のお店を持ちたくて、古着の卸の会社で働いてたりもしたので、結果的に、意図してなかった流れで叶うことになりました。納屋は元々、牛を飼ってたらしく、その雰囲気を残したり活かしたり、楽しみながらDIYしてますね。

丹波市で起業する際に懸念していたことはありますか?

恵祐さん
集客ですね。そもそも、やっぱり人が少ない地域なので。「丹波の人は古着買うのかな?」とか。でも、店舗の家賃はかからないし、僕らは古着に囲まれているだけで幸せなので、最悪思ったほどお客さん来なくてもまあいいかな、という気持ちではじめてみたって感じですね。

起業する際、具体的な手続きについては誰かに相談されましたか?

恵祐さん
してないです。元々お店することになって、場所と物さえあればお店できると思ってたんですよ(笑)
準備を進める中で、開業届の存在を聞いて知って。なので、当初お店をすることが起業になると思ってなかったんですが、古物商の許可もとって、なんとか自分たちでやりました。

当初の資金繰りはどうされましたか?

恵祐さん
当初はお店をするつもりではなかったので、丹波市に引っ越してくる時に国から補助金がもらえたり、家のリフォームとかで補助金を活用しました。起業に関するものは今ちょうど、市や商工会に相談しながら申請中ということで、なんとかなってますね、おかげさまで。

屋号の由来は何でしょう?

恵祐さん
そのまんまです。北油良なので、NORTH OIL GOOD。最初は学生時代から温めていたみたいな名前もあったんですけど、ちょっと違うなと。色々考え尽くして、何周も回って、地名を英語にするという案で決まりました。

美里さん
もし北油良の「油良」が「由良」だったら、NORTH GOOD GOODになるところで(笑)
結果的に英語にして収まりのいい地名でよかったです。

開業されてからここまで、ビジネスの状況はいかがですか?

恵祐さん
オープンしたのが今年のGWからでまだ間もないんですが、40~50代で普段大阪とか京都の古着屋に行ってるという人たちが来てくれたり、20~30代の元丹波出身者が実家帰るついでに寄ったとか、当初思っていたよりは沢山きてもらえてますね。

美里さん
元々そんな売れなくてもいいかなってスタンスだったんですけど、この周辺からでも春日からとか福知山からとか。周辺にお店が沢山ある場所でもなく、ネット上の情報も今はinstagramくらいなんですが、お店の存在を見つけて、来てくれてますね。ありがたいです。

起業してよかったこと、逆によくなかったことはありますか?

恵祐さん
良かったのは、僕らは古着が好きなんで、「こんなに古着買えるんだ」「買っていいんだ」って、自分達が着るもんじゃないのに、いっぱい買えるのが楽しいですね(笑)

美里さん
それ、わかる(笑)

恵祐さん
それをまた誰かが買って喜んでくれる、だから、さらにうれしい。すごく些細な、超スタート地点の話なんですけど、それがシンプルにうれしいですね。

将来の展望はどのようにお考えですか?

恵祐さん
古着文化を広めたいまではいかないですけど、古着が1つの選択肢になってくれればいいなと思ってます。資産的価値の高いヴィンテージブームみたいなことではなく、普通に「スニーカーが好き」とか、面白い一点ものの古着の良さを、自分の出身地から伝えられたら楽しいなと思います。

あと、敷地には山林もあって、整備すればかなり広いスペースがとれるので、ヤギ飼ったり、キッチンカー呼んで、子どもも遊べるようなイベントとかできたら面白いなと考えていたり。色んなことをやってみたいですね。

起業を考えている人へのアドバイスをお願いします

恵祐さん
うちは基本的に、ネットで検索しても出てこないような商品を選定して仕入れているんですが、アパレル以外の業種でも、店舗を構えるなら実際に足を運んでみないと何があるかわからないといった匿名性とか、お店にわざわざ来てみたくなる、オーナーの色が出てるとか、そういった工夫がいるような気がしています。

何でもネットで買えてしまう時代だからこそ、逆にそれをうまく利用して活路を見出して、ファンになってもらうのが結構大事な気がしますね。

※この記事は2025年7月21日に取材した情報をもとに作成いたしました。

事業者名  NORTH OIL GOOD
代表者名  庄司美里
 669-3653
所在地  兵庫県丹波市氷上町北油良609
営業時間  土日祝9~17時/月金11~19時/火水木休み
instagram  https://www.instagram.com/northoilgood/