たんばの仕事

Vol.122 / 2022.10.14

若さと元気で三次元測量の時代を切り開く

有限会社倉本測量

業種
  • 建設業

測量業務。工事が行われる前に、測量士が道路脇で測量を行っている光景は誰しも見たことがあると思いますが、案外何を測っていて、測ったものがどう使われているのかをご存じない方が多いのかも知れません。丹波市南西部の山南町小野尻で、30年間あらゆる現場で測量を行ってきた会社があります。今回はその有限会社倉本測量に取材しにいってきました。

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◆計画や工事の起点となる測量業務

◆倉本測量の歴史と三次元測量がもたらす変革

◆実際に働く現場の声~谷口陽太郎さんのお話~

◆“縁の下の力持ち”となる人材を募集中

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今回は、代表取締役社長の倉本亘さんと、スタッフの谷口陽太郎さんにお話を伺ってきました。

計画や工事の起点となる測量業務

倉本測量の事業内容を教えてください。

基本的に測量業務ですね。

兵庫県とか丹波市役所等の行政が発注する公共の測量と、建設会社や各個人さんから話を受ける民間の測量、あとは行政への申請関係業務と、橋梁の点検ですね。

その三本柱でやってます。

仕事の相手方はどこが多いですか?

やはり行政関係が多くて、県や市の仕事が中心になっています。

後は地積測量と言いまして、宅地の境界、山の境界を調べるのが主な業務を占めてますね。

なるほど。測量って我々のように直接関わらない人からすれば、どんなことをされてるのかピンとこなかったりするんですが、年間どれくらいの回数測量するんでしょう?

去年の仕事数でいくと30~40件程ですね。ただ、その1件の測量期間が1週間で終わるものから1年に及ぶものもあります。

例えば、2週間やって2ヶ月あけて、また2週間やるみたいなこともあります。

この測量業務って表舞台には直接出てこないんですよね。

地図を作る場合は別なんですけども、工事をする為・計画を立てる為に行うのが大半なので、あんまり人目につかないといいますか。

何してるのかわからないと思われがちですよね。

具体的にはどういう場合に測量するんでしょう?

例えば、山の崖が急なところを急傾斜地区と言いますが、大雨が降ると崩れてきたりするので、一般的にコンクリートやネットで崩れてこないような工事をするんです。

その工事のために、崖の状態が今どうなっているのかを測量したり。

また、道路を拡張する際に、隣接する土地を買収したりするので、どの辺が買収予定で、どの辺まで道路が来ますよっていうのを測りに行ったり。

あとは山に入って境界がどこにありますよっていうのを測るといった仕事ですね。

なるほど。山の測量でどこからどこまでが所有者のものなのかというのは、どうやって行うんですか?

基本的には昔、公図という古い図面があるんですね。

それをもとに土地の所有者さん達と一緒に山を歩いて、AさんとBさんに『境界はこの辺ですかね?』って聞いて、納得いただいたら目印の杭を打っていくと。

そういうのをすごい広い面積を測量していって、きれいな図面を起こすといった感じです。

測量だけでなく、確認も行うってことなんですね。

そうです。やっぱり当事者がいなかったら境界がわからないんで、当事者の片方が来てない場合は、片方の言い分だけでは決められないんですね。

好きなだけ言えちゃうので。その場合は境界不明という扱いで終わります。

所有者がおじいさんの名義やったけども亡くなって息子さんが東京に出ているとか、そんなこともいっぱいあります。

遠方の場合は委任してもらったりしながら、境界の杭を打って、杭さえ打てればあとは我々の人海戦術でそれを測りにいくだけなので。

そこが一番大変ですね、境界の測量は。

なるほど、よくわかりました。事務所の外にドローンがありましたが、あれはどう使われているんですか?

ドローンを使ったものは三次元測量と言いますが、測量のやり方の一つですね。

業界的には令和元年頃から少しずつ、やってみようかという雰囲気になってきた時に、弊社は以前からもってましたので、割と早いうちからガンガンやって、確立できてきました。

では業界内では先駆けなんですね。最初に導入しようっていったのは誰なんですか?

会長ですね。会長は新しい機械が好きで、三次元に目をつけたのも6,7年前です。

世の中にGoogleのストリートビューが出始めた頃に『これからは三次元だ』と言っていろいろ機械を買って。

2018年頃に『ドローンっていうのがあるで』とドローン買って。

でも、買うだけでうまく使えなかったんで、僕が前の仕事辞めて帰ってきて、じゃあそれをうまく使おうかっていうので、動き出して今、形になってきているっていう感じですね。

倉本測量の歴史と三次元測量がもたらす変革

倉本測量はいつから始まったんですか?

創業は1993年3月で、その後法人化したのが2000年9月です。

今年で創業から30年目になります。

創業の経緯ってどういう流れでそうなったんでしょう?

父はもともと地元の建設会社に勤めてまして、いろんな業種の人らを束ねて工事や資金・人を動かすといった世話役みたいなことをやってました。

そこから、僕が小学校に上がる頃に建設業の一分野である測量でやっていこうというので、立ち上げたと聞いています。

はじめは測量一本では経営が難しかったらしく、色々やってたそうです。その中で、最終的に測量が一番落ち着いてきて、今に至ります。

倉本さんは丹波市生まれ丹波市育ちですか?

そうです。柏原高校いって、その後は大阪市立大学へいって大学院までいって、23歳で神戸市役所に就職して、7年して帰ってきたって感じですね。

今年で36歳になります。

市役所いってたってことは、当初から継ぐ話はなかったんですか?

なかったですね、中学校の頃から公務員になるっていってましたんで。

なんか公務員への憧れとかあったんですか?

当時、ドラマで古畑任三郎っていうのがありまして。

古畑さんが今泉という部下に、宿帳に職業書く時に『警察官って書くんじゃなくて、公務員と書きなさい』といった注意をした場面があったんですね。

その公務員っていう言葉に引っかかりまして。

ちょうど学校で、将来の職業を考えるみたいな時に公務員って調べたら、全体の奉仕者であるとか、町のためにやる仕事ですよみたいなことが書いてあったんで、そんなんになりたいなっていうので、公務員を目指すことになりました。

そこが入りです。

初めて聞きましたね、そういった経緯(笑)
では、その憧れの公務員から何でまた家業を継ぐことになったんですか?

測量業は土木関係の仕事なんですが、僕が市役所にいた時も土木系の部署やったんです。

当時、建設会社の人と色んな話をしていた時に、やっぱり現場で働く民間の人は今の情報を持っているなと感じたんですね。

僕もわからないなりにドローンや三次元の話を聞いた時に、「行政はちょっと遅れているなあ」と感じまして。

そこでこの業界は今後三次元がくるだろうっていうのが見えて、公務員を辞めて、ここに継ぐために帰ってきた感じですね。

30歳の時に辞めました。

では、倉本さんが2代目になるんですかね?

そうです、2代目です。つい先日の10月10日に代替わりしました。

おお、すごい最近じゃないですか。

そうなんですよ。実は僕もつい最近まで10月10日に変わるって知らなかったんです。

先月頃に事務所で、「代表変わります」っていうハガキの原稿を見て、そこに10月10日付けでって入ってて。

『あ、そうなんですか』って(笑)

一同(笑)

公務員を辞めて家を継ぐって話を関係者にした時はどんな感じだったんですか?

会長と妻以外はみんな大反対でしたよ。『なんでなん?もったいない』って。

『考え直した方がいいって』みたいなことも沢山言われました。

ただ、30歳という節目もありましたし、ちょうど次で異動のタイミングやったんですね。

係長になれとか、色々声はありましたけど、「なったらもう辞められないな」と思いましたし、30歳超えるともう次の区切りはないやろうなと思ったんで、決断しました。

今までは二次元の測量だったものが三次元になって、どういった変化があったんでしょう?

現場の作業時間が、圧倒的に短くなりましたね。現場に10日間行ってたものが2日間で終わるとか。

その分、内業が6日間くらいあるんですが、トータルで見たら実質2日分は楽になった計算ですね。

他には天候に左右されにくくなりました。

ただ、やはりちょっと精度が落ちるんですけども、それくらいでいいよっていうところには三次元がどんどん使われていって、土地の境界とか厳しく見る必要があるところはちゃんと人の目で見て、従来通りの方法でするっていうすみ分けが出てきてますね今。

なるほど。取引先側における、2Dにはなかった、3Dならではの付加価値ってどんなのがあるんでしょう?

3Dはよく言うのが、「現場を丸ごと事務所に持ち帰れる」って言うんですよ。パソコンの中で測量をするというイメージなんです。

ですので例えば、スライスした断面を作るときに、これまでは測量時に現場で長い間作業を止めてもらってましたが、3Dではそれがなくサクっと測って帰って、パソコン上でスライスしたらその断面ができます。

天候を気にせずいつでもできるので、レスポンスが早くなりますよね。

また、「20m間隔で断面切ってください」と当初言われていたものが、後で「やっぱり10m間隔で切ってください」みたいなことになっても、3Dはもう現場のデータを持ち帰ってますので、追加の測量をすることなく即座に事務所で作業して納品できると。

そうするとタイムロスなく、仕事ができるといった効果がありますね。

なるほど、それは確かに双方ともに画期的ですね!

そうですね。現場を掘ってから、『あそこ前どんな断面やったかな?』って言われた時も、当初のデータがありますんで対応できますよね。

『こんな感じでしたよ』って。3Dは本当に、当事者の負担を相当軽減させました。

実際に働く現場の声~谷口陽太郎さんのお話~

谷口さんは今おいくつですか?

43歳ですね。

丹波市生まれ丹波市育ちですか?

そうです。柏原高校を卒業して、測量関係の専門学校を出て、倉本測量に就職しましたね。

今年で20年目になります。

高校の時に、測量士になろうと思ってたんですか?

いやあ、当初は全くなかったですね。

今思うと、実家が建設業やってまして、頭のどこかで影響を受けていたんだと思います。

丹波市内に測量の会社は何社かありますが、その中で倉本測量で働くことを選んだ経緯は?

倉本測量を知ってた訳ではなかったんですが、測量会社を探していて、2,3社電話しましてね。

ここの先代社長と電話で最初にしゃべった時に、『おお、ほな一回来て。話しよ』って感じでして。

そのタイミングがほんと早くて、なんやこれっていう感じやったんですけど、『ほないきますわ』と言って。

決め手はもう、最初しゃべった時の感じですね。人間そんなもんですよね。

測量の仕事の、やりがいはどういうところにありますか?

自分たちが測量したものを元に、計画されて、公共の場に現物が建っていくのが素晴らしい事だなあと思いますね。

会社のいいところはどういうところでしょう?

アットホームなところですね。家族的な会社やと思ってます。同年代が揃っていますので話が合いますし。

でも、別に共通の趣味みたいなんはないですよ(笑)

(笑)谷口さんは最初2Dから始まったと思うんですが、3Dを最初触る時、戸惑いとかありましたか?

ありましたね。

ただ、今後のことを考えると触らざるを得ないでしょうし、仕事ですからそういうのは慣れていかなあかんと思いましたね。

実際触ってみてどうでした?

やっぱり早いですね。労力的にも現場で動いてたのが動かなくていいとか、そういうのはありますね。

逆に中でやる作業が増えましたが、その分体が楽になりました。

皆さん平均的に、お仕事は社外と社内、どれくらいの割合で働くことになるんでしょう?

ちょうど半々くらいですよ。外で測るのが5割、中で作業するのが5割ですね。

仕事内容は皆さんで分業されてるんでしょうか?

いいえ、全員同じような動きになりますね。全員外にいって、測って、中帰ってきて作業する感じです。

苦手なことがあっても、ほぼ常に複数人で作業しますんで、そこはチームプレーで補えるんですよ。

これから入ってくる人にメッセージを。

少しでも測量に興味があれば、一緒に頑張りましょう!

ありがとうございました!

“縁の下の力持ち”となる人材を募集中

今何人いるんですか?

会長と僕と合わせて、9人ですね。1人アルバイトで、他は正社員です。

僕と同年代の30~40代が大半なんですが、いずれ年が離れてくるでしょうから、少しずつでも若い世代の採用をしていきたいと考えています。

新しい人を採用するにあたって、こういう人に来てほしいとか人物像ありますか?

まず何より元気な人ですね。測量業は基本的に山に登ったり、道なき道を歩いたりします。

今まで何もされてないところを新たに何かするので、体力は間違いなく必要です。

あと、話がちゃんとできる人であればいいですね。基本的に測量の仕事は複数人でやりますので。

技術はあるに越したことはないんですが、初心者だったとしても嫌でも覚えてくるんですよね。

現場に沢山でて、技術と資格は取っていってもらったらいいかなと思います。

採用には測量士の資格とかの条件はあるんですか?

ないですね、運転免許くらいです。

今年の5月に1人新しく入社してもらいましたが、畑違いのところから来て、今資格の取得も目指しながら、どんどん現場出てやってますよ。

資格取得には会社として手当や補助も用意しています。

倉本測量の強みってどこにあるんでしょう?

まず人が若くて、若い上に20年とかベテランが揃っているので技術力もあるというところ。

あとは色んなネットワークをもってますね。建設会社、不動産業者、設計会社、役所。

先代が色々やっていたおかげで関係先が多いので、大体うちに来てもらったら、何かしらの解決策を提示することができるのが強みですね。

倉本測量の今後の展開は?

測量業務と、三次元測量と、構造物の点検。この3つを基本に仕事を伸ばしていきたいと思っています。

その中で、測量業務は三次元等の技術革新によって今後20年間でなくなると言われています。

なので、言われたものを測るだけじゃなくて、測ったものを形にして我々の方から何か世の中にアプローチできないかなっていうところを今、考えながら進めているところです。

直近でいえば、今事務所の横でドローンスクールを開校しようと計画しておりまして、絶賛準備中です。

最後に一言お願いします。

測量の仕事は“縁の下の力持ち”、“黒子の役に徹する”といった感じなんですね。

我々の仕事がないと計画も立てられないし、工事もできない。

表立って日の目を浴びることはないんですが、僕としてはそこに魅力を感じています。

今後、測量業界はきっと激動の時代になりますが、我々と一緒に縁の下から時代を切り開いていきたいと思えた方は是非、一緒にがんばりましょう。

ありがとうございました!

 

 

 

ITの進化と技術革新で、これまで当たり前のように存在した仕事がなくなっていくといった話はよく耳にしますが、こうして時代を先駆的に切り開いていこうとしている企業が存在することは、働く側からすると安心感を覚える要素かも知れませんね。ご興味持たれた方は是非お問い合わせください。

※この記事は2022年10月12日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名 有限会社倉本測量
代表者名 倉本 亘
669-3166
所在地 兵庫県丹波市山南町小野尻118
電話番号 0795-76-1699
FAX 0795-76-1704
webサイト http://hyogo-kurasoku.jp
https://ksda.kurasoku.com/
メール kurasoku@dream.ocn.ne.jp