たんばの仕事

Vol.125 / 2023.02.28

増え続ける耕作放棄地と向き合い、最新設備で農業をする

なかの農場(株式会社中野産業)

業種
  • 農業

以前取材させていただいた、丹波市山南地域で木材チップを製紙工場やバイオマス発電所に運搬する株式会社中野産業。昨今の耕作放棄地の問題や農家の担い手不足に一矢報いるべく大型の農業を始められたとのことで、取材に行ってきました。

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◆「今、一番いいものを導入する」なかの農場が行う最新農業

◆耕作放棄地の復旧も、大規模農業も最新設備で解決

◆目指すは50町!目標に向けて立ち上げていく同志を募集中

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今回は、品質管理の責任者をされている岡澤大地さん(写真左)と、現場スタッフの新保雄大さん(写真右)にお話を伺ってきました。

「今、一番いいものを導入する」なかの農場が行う最新農業

なかの農場の事業内容を教えてください。

一言で言えば米作りですね。コシヒカリを生産して、乾燥・籾摺り・光選別・精米、販売まで全て一貫して行っています。

2021年の秋に中野産業の農業部門として“なかの農場”を立ち上げまして、まず土づくりするところから始めました。

なので、昨年一度米作りを実際に行ったところです。

この事業の特徴としては、最新の農業設備を積極的に導入していることです。

田植えを均一に行える機械や、お米の刈り取り時にその場でわらを粉砕して田んぼの肥料にできる稲刈り機、他にもお米に含まれるうまみ成分を一粒ずつ確認して、一定水準を満たすお米だけを選別できる光精米機等。

農業技術の補完だけでなく、安心・安全品質を維持できるようにしています。

株式会社中野産業が農業部門を立ち上げたのはどういう経緯だったんでしょう?

丹波市では米を作る農家が高齢化もあって減ってきたのと、それに伴い耕作放棄地も増えてきていて。この問題をなんとかしようというのが一番最初の考えです。

そこにちょうど、大きな補助金メニューが出てきたこともあって、グループ会社も関わって一気に米の乾燥施設を建てたのがきっかけです。

先日、社員の採用面談があって、その時に社長が社内向けの話として言われていたのは、『これからの時代、いつどうなるかもわからないし、お金をどんだけ持っていても、どんだけ給料を渡していても、その価値が0円になるかもしれない。そうなった場合でも、社員全員とその家族を食っていかしたいから、農業をするんや』と言ってましたね。

すごい素敵な考えですね。去年から米作りを始めたということですが、農地はどれくらいの面積を行ったんでしょう?

去年は14町程やりましたね。メインで動いてたのは2人で、何人か手助けに入って数人で回しました。

※1町(いっちょう)=約10,000平方メートル。ちなみに東京ドームは約4.7町。

14町?!いきなり相当広いですね。最初の土地はどうやって用意されたんでしょうか?

元から社長が自前で結構な規模の田んぼと畑を所有してたのと、それから耕作放棄地を探して所有者を調べて、借りたり買ったりして増やしました。

以前から今も、社長がずっと農地の確保に動いています。事業の関係で、会社でも土地を扱うことがあったので、割とうまく確保してこれたのかなと思いますね。

なるほど。そのメインで動かれていた2人は、農業未経験だったんですよね?

そうですね。それでもなんとかなったのは、社長の考え方が大きいです。

「中古のいいやつじゃなくて、今一番いいものを導入しよう」という考えなので、最新の設備を導入してもらったおかげで、未経験でも少ない人数でもうまく回せました。

ただ、最新設備はほとんどコンピューター化されてるので、若い人たちはすぐ慣れて操作できてますけど、案外長年農家されてる年輩の方には逆に操作が難しいんじゃないかなと思ったりしますね。

今時の最新設備はやっぱり操作が難しいんですかね?

操作が難しいというよりは、慣れでしょうね。

もちろん人によるんでしょうけど、今度は新たにドローンが導入されますが、最初の通信設定をしたりとか、実際に操作したりとかっていうのは、小さい頃からスマホでアプリ触ってきたっていう若い人たちには慣れたもんでしょうね。

昨年作られたというお米の、販売はどうされてるんですか?

販売は、まず半分程を農協に出荷しまして、残り半分は冷蔵庫に保管してECサイト等で直接販売しています。

今後は状況と進捗次第ですけど、道の駅での販売や、自社で店を構えて販売していくのもありかなと思っています。

ちなみに、雨降った時は何されてるんですか?

今のところは野菜作りもしてませんし、ハウスもないので、機械の整備とかですね。爪の交換だったり、トラクターのグリスアップとか。

機械等を置いてる倉庫や設備がかなり大きくて広いので、雨の日を中心に掃除をしたり、整備する時間にあてています。

冬の時期とか、特にこれといった農作業がない日でも、日頃から社長が耕作放棄地とか新しい農地を持ってくるので、そこを整地したり。

やっぱり百姓というだけあって、割と何かしら必要な作業があるんですよね。

耕作放棄地の復旧も、大規模農業も最新設備で解決

お二人はどういう経緯で農業部門に関わるようになったんですか?

(岡澤さん)
新保に関しては社長推薦です。

(新保さん)
僕は以前、篠山産業高校を卒業してから大手車メーカーで働いてました。

前の会社は毎日同じ工程作業ばかりで新しい魅力がなくて、おもしろみがなかったんですね。中野産業には当初運転手希望で転職してきました。

最初に試用期間があって、パルプの方の仕事や、運転手の横乗りだったり、整備工場でトラックの構造を知る為の見学とかそういう体験をしていて。

(新保さん)
それでたまたま時間がある時に社長がこられて、『田んぼ手伝って』と言われたのが始まりですね。

それから気づいたら田んぼに付きっ切りになってたら、そのままやることになって。「案外こっちの方が面白いな」っていう成り行きで、そのまま今に至ります。

(岡澤さん)
まだ今年で20歳と若いですし、これっていう、何がしたいとかいうのがわからない状態でもあったんじゃないですかね。

そこまで運転手だけをしたかった訳じゃなかったとか?(笑)

(新保さん)
いやいや、そう思うじゃないですか?(笑)やっぱり、僕は機械を扱うのが好きやったんですよ。

この農業をし始めたら、ユンボとか色んな機械に乗れたり、ラジコンの草刈り機なんかを操作出来たり、トラクター1つとっても操作性がおもしろかったり。

本当に毎日違う、色んなことが出来るので、自分に適しているなと思ったんで、こっち選ばせてもらいました。

特殊なやついっぱい乗れますもんね。

(新保さん)
そうですね。最近のトラクターは冷暖房完備で、オーディオもついてて、オートエアコンで。もう他にはいけないです。

最新機器が僕からすると逆に扱いやすいですし。若い人には働きやすい環境かなと。

よくわかりました。岡澤さんはどういった経緯で?

(岡澤さん)
僕も篠山産業高校卒業して、実は新保と同じ車メーカーに就職しました。これも同じく、ライン作業でやりがいがなくて。

病院に転職して事務をしてた頃に、今の妻と出会って。妻の実家がこの中野産業だったので、結婚と同時に今に至る、という感じですね。

2017年から働いてます。

なるほど、そういうことでしたか。先ほどの話で、14町の農地は、耕作放棄地もあるとなれば、あちこちに点在してる感じですか?

そうですね、谷川駅付近から氷上町小野付近まで、結構バラバラですね。

なるほど。では農機具をあっちこっち運んで作業してるんですか?

そうです。今日はこっちの現場、明日はあっちの現場という感じですね。重機を運ぶ積車もあるので、移動はそんなに苦じゃないです。

耕作放棄地は耕作前の整備が大変なイメージがあります。

「去年までは田んぼやったところで畑やってました」とかいうところが結構多くて、水を入れてくる溝の入り口が壊れてたり、石が置いてあるといったのが多かったですね。

その時は以前担当してた人が自分でコンクリートを練って作り直せる人だったので、配管の修繕が多かったって聞いてます。

他にも、以前の農耕作者が電気柵をつけたまま放置してあるところも多かったですね。

ラジコンの草刈り機がありますけど、そのまま突っ込ませると電気柵の線が巻き付いたりするので、まず荒れ地の中に入っていって、線を先に片付けたりしてました。

きれいに整った耕作放棄地って存在しないイメージですね。

もちろん、場所によっては草だけのところもありますけど、その草も3m程の高さに伸びきっていてそれこそ木みたいになってたりします。

台風なんかで飛んできたトタンがそのままあったりとか。そういった落ちてるものの片付けをしてから、ようやくラジコンで草刈りですね。

畔はトラクターとかにつける、ハンマーナイフモアっていう機械があるんですけど、それで作業して。

でも機械が揃ってるので、そういった仕事もうまくいけば一日で3反くらい、1人でこなせちゃうんですよ。

もし何も機械がなかったら、多分1ヶ月はかかるんじゃないですかね。

他にも、耕運機なんかは元の幅が2.4mで、4mまで拡張することが出来たり、田植え機はGPS機能がついてて均一に植えていくことが出来たりします。

米一粒ずつ検査する光精米機や、田植えしながら肥料まいたりできる機械もある。

田植え機は本当に楽で、ハンドルもたずに運転されていくんですよ。

聞いててもなんかワクワクしますね!

多分、農業のイメージはがらっと変わりますね。リモコンでちょちょいと操作してるみたいなことが結構あるので。

それってちなみに、日々肉体労働してる感覚ありますか?

肉体労働は普通の農業と比べたら少ないと思いますね。なので、大きい規模の仕事を、少人数で容易にこなせる、そんな感じです。

一日中体を使うような仕事がここはほとんどないです。

農業の概念が変わりますね。使う機械の中で特殊な免許が必要なものはありますか?

弊社のトラクターは基本的に大きいタイプなので、公道を走るなら大型特殊の免許が必要ですね。いちいち積車にのせなあかんとなると効率が悪いんで。

免許がない場合は入社してからとってもらう感じですね。

目指すは50町!目標に向けて立ち上げていく同志を募集中

なかの農場の今後の展開を教えてください。

当面の目標は、扱う農地を50町まで広げていきたいと考えています。

米の乾燥機も、その季節に50町分が全部対応できるだけの施設を用意しています。

あとは野菜ですね。最近採用した2名が農業経験者なので、何を作っていくかは今後話し合って決めますが、今年から野菜作りも始める予定です。

野菜はついこの間まで小豆って話だったんですが、設備投資に数千万かかりますし、とりあえずは一旦米が中心ですね。

とにかくおいしい米を作って販売して。いずれは加工部門も作って、もち米作って餅にしてといった具合に加工も広げていくのもいいかなと。

すごい設備が整ってるので、あちこちから貸してほしいと言われそうですね。

いやあ、どうでしょうね。「軽トラ貸してほしい」と「ベンツ貸してほしい」との差みたいに、借りるのも怖いんじゃないですかね。

それなら、代わりにやってあげるサービスを始めるのはいいかもしれないですね。助かる人も多そうですけど。

今後入ってくる人材にはどういう人を求めますか?

弊社の農機具はコンピューター化されたものが大半ですので、機械が好きとか新しいもの好きな人の方が相性はいいでしょうね。

わからないことが出てきても、諦めずに何でも挑戦できて、やる気のある人がいいです。

あと、農業はどうしても天候に左右されますし、収穫時期といった繁忙期が存在するのでシフト制のような働き方になります。

会社にというよりは、農作物に合わせた働き方になりますので、その辺りはしっかり理解していただいた上で働いてもらえると嬉しいですね。

シフト制のような働き方とは、具体的にどんな感じですか?

基本的に土日休日固定という感じではなく、シフトを組んで対応しています。

例えば米を作ってる時は水の管理が毎日必要なので、その間は絶対にローテーションしたり。

これからつくることになる野菜にもよりますが、時期によっては土日祝休みにできるかもしれません。

まだ、そうはいっても昨年から始まったばかりですので、今後関わるスタッフと、作っていく野菜の計画と、都度話し合いながら一番いい形を模索していきたいところです。

最後に一言お願いします。

(岡澤さん)
なかの農場はまだまだ始まったばかりで、今後に関しては固まってないことが大半です。

逆にそういう状況だからこそ、色んな考えや意見を汲み取っていける環境なので、それが楽しかったりします。

興味をもっていただけた方は是非お問い合わせください。

(新保さん)
機械が好き、新しいものが好きという人には適した職場だと思います。本当に毎日違うことをしているので飽きがこないです。

この環境が面白そうだと思えた人は、一緒に頑張りましょう!

ありがとうございました!

 

 

 

“最新の設備で農業をする”ということが、実際どういうものなのかがよくわかる取材でした。今の最新設備は、これまでの農業の概念を根本から覆す程の利便性と効率性。この環境から農業に関わり始めた若い人材が、今後の農業を大きく支えていく人材になる予感がしました。

※この記事は2023年2月1日に取材した情報をもとに作成いたしました。

 

事業者名 なかの農場(株式会社中野産業)
代表者名 中野一成
669-3157
所在地 兵庫県丹波市山南町和田552-1
電話番号 0795-76-1355
webサイト https://nakano-nojo.com/