イベントレポート

イベントレポート 2025.12.09

|開催レポート|R7_丹波市起業家ネットワーク「イーWa!」Vol.4 フィールドワーク0.0「丹波の『根っこ』を掘り起こす」

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株式会社まちづくり柏原、丹波市商工会、そして我々たんば“移充”テラス3者合同で始めた、起業家ネットワーク「イーWa!」。

R7年度、第4回目“フィールドワーク0.0「丹波の『根っこ』を掘り起こす」”を、先日12月6日(土)、水分れフィールドミュージアムにて開催いたしました。

当日の参加者は、9名+子ども1人でした。

急に冬らしくなってきたところで、雪とか雨でも降ったら開催できないところでしたが、一日晴天といったところで、無事に開催できました。

主催者挨拶もほどほどに館内案内

挨拶もほどほどに、まずは水分かれフィールドミュージアムの館内案内を、教育普及専門員である海老原茉里奈さんにお願いしました。

本州で一番標高が低いところにあるという、丹波市内の分水嶺。この周囲に降った雨は、南北にわかれ、それぞれ日本海と瀬戸内海方面に流れていくその分岐点になっている訳ですが、その水の通り道となっている一帯を氷上回廊といい、氷上回廊は海抜約100mくらいしかないことから、もし仮に海の水位が100m上昇したらどうなるか、といったものを視認できる展示物があったりします。

100m上昇すると、氷上回廊を流れる川は海水になるので、氷上回廊は「氷上海峡」になるんだとか。

ただ、氷上海峡の実現可能性はどれくらいあるのか、という話になりますと、実際には南極の氷が全て溶けても実現しないだろうという説が濃厚らしいので、よほどの天変地異でもない限り起こらないという話でしたが、海峡になるところだけ切り取って考えればなんだかロマンがありますよね。実際になったら世界が大変な事態でしょうから、きっと喜んでられない事態ですが。

その後は普段、有料となっている展示室も館内案内。

ここでは、太古の昔から今に至るまで、どういう経緯で今の地形になったのかを詳しく展示・説明している箇所。地面をボーリング調査した結果から考えられる説をもとに、詳しく解説されています。

その昔、春日町から北東方面は大きな湖となっていたそうで、おばあちゃんの里にも展示されているようにマンモスを狩猟してたのではないかと思われる石器などが出土していたりもします。

なかなか、今の暮らしからは想像つかないロマンあふれる話の数々ですが、でもよくよく考えてみると、なんだかその昔話の節々が、連綿と今に繋がっているような気もしたり。

文化の成り立ちとして、割と近代になるまで、丹波市内を流れる加古川をつかって、瀬戸内海側まで船を使って荷物を上下に運搬していたりもしていたそうで。

エンジン付きの船なんか、よくよく考えると長い歴史からすると最近の話ですし、日本海側と瀬戸内海側を繋ぐ要所として栄えたと言われると、なるほどなと納得感もあり。標高が低い分、人間も動物も行き来しやすく物流も通しやすかったこと、東にいけば京都があり、南東に向かえば大坂があり。

確かめようのない過去があるのも事実ですが、改めて昔を知ることで、今に活きる知見があるような気がしますね。

水分かれフィールドミュージアム、説明を聞きながら回ると、より知見が深まるので、超がつくほどお勧めですよ!

実際に水分かれ付近をフィールドワーク

前半戦で知識を深めたところで、実際のところはどうなっているのかを、丹波市をベースに全国で活動する登山家・中辻郁美さん(登山ガイドおタキ)に、水分れフィールドミュージアム周辺をアテンドしてもらい、水分れフィールドミュージアム内で解説を受けた分水嶺の地形や、それによって形成された生物多様性の事例等について観察するフィールドワークを実施しました。

実際に分水嶺になっている地点に到達。周囲を等高線の地図で見てみますと、山の尾根は等高線が突起状になって連なっているところがそうで、石生一帯はなだらかな等高線が続くことからいわゆる扇状地となっていて、これは雨が降って水が流れるルート(水と一緒に土砂も流れていくことで地形が作られていく)でそうなっているとのこと。

人生で初めて等高線の地図の見方を知って、これで尾根がわかるのかと感動しました(笑)

もちろん、地形は刻一刻と変化していくもので、それがよくわかる例としてこの写真。たった4つの石で水の流れが変わったりするので、大小問わず土砂崩れがあったりすると、割と簡単に水の流れが変わり、それによって運ばれていく土砂の流れも変わる為、地形も変わっていく。

そう考えると、今見てる地図は、今の瞬間のものでしかないんですよね。近年、大型の地震が割と続いていますが、実際には結構地形が変わってたりもするんでしょうね。

普段、車で何気なく走っていると気づけないのが、地面の傾斜。

この一帯に雨が降ると、どこに流れていくのか。当然傾斜のある方に流れていく訳ですが、降って来る雨水を意識することはあれど、地面に落ちた雨がどう流れているかを観察することってあまりないですよね。

色んなモノの見方、考え方を知ることで、何気なく普段見かける物事が豊かになっていく。

フィールドワーク0.0の名の通り、直接的に各々の事業に必ず役立つわけではないでしょうが、ちょっと俯瞰的に、多様なものの見方があることを実体験でき、ちょうどこれから年末に差し掛かるにあたって、思考の棚卸にもなったんではないでしょうか。

これからも色んなフィールドで、事業をしてみたり、何か活動してみたりとしていく中で、そもそものフィールドワークとは何ぞやを考える、いい機会になりました。

参加者の皆さん、講師の皆さん、お疲れ様でした&ありがとうございました!

おまけ

この日まで水分かれフィールドミュージアムで開催されていた、モズのはやにえ展。

実際に水分かれ界隈で、モズの早贄(モズが捕らえた獲物(昆虫、トカゲ、カエルなど)を、枝や有刺鉄線などに突き刺して保存する習性)が観察できるという中辻さんの話で、皆で周囲を見て回ってみたところ、あるわあるわ。

モズの早贄、人生で初めて見ました。この日はバッタが多めでしたが、話によるとモズはバッタだけでなく、ムカデ、蛙、蝶々、トカゲ、スッポン、ネズミ等々、割と何でも食べる肉食とのこと。

ネズミが木に刺さってたらドン引きしそう・・・

この時期はため込む時期だそうで、来月からは消費に回ってなくなっていくんだとか。

皆さんもモズの早贄捜索がてら、フィールドワークしてみるのはいかがでしょうか。

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