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イベントレポート 2017.12.06

人の数だけ仕事がある。ma-no仕事事典vol.2 田中守

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丹波市で地元の方々とIターンUターンに愛されるカフェ・cafe ma-noで開催されるイベント「ma-no仕事事典」と、ふるさと定住促進会議の全6回のコラボ企画・レポート第二弾。

みんなの家の代表・井口さんに続いてお話して頂いたのは、田中建築板金工業の田中守さん。

建築という仕事のこと、田中さんの働き方。

地元の人間から見た、IターンUターンについて、お話頂きました!

まずはma-noの北さんから、建築板金という仕事についての質問から始まります。

 

北さん:守さん、建築板金ってそもそも何ですか?

 

 

板金屋は鉄板や板金をつくる。鉄を薄く伸ばしたら鉄板になるし、亜鉛メッキをかけたらトタンになる。それを建築に活かしていくわけやな。

 

 

北さん:そういうのって、どこで習うんですか?誰かから教えてもらったりすること?

 

 

本やカタログに書いてあるんや。屋根に使うにはこれ、壁に使うのはこれ、特性や良し悪しまで。

メーカーは訴訟とかあるから、全部きちんと書いてあるから、それを俺らは経験で判断する。

 

 

 

 

 

田中さん流・仕事が嫌になった時の、働きかた。

 

建築の現場で仕事をしていると、若手が育っていない、職人が減ってきている事を感じるそうです。田中さん自身も「3K、4K、5K。きついきたない、いっぱいしんどいことあるんや」とおっしゃっていました。職人や働く人が減ってきているこの業界の仕事で、それでも続けられる理由もあります。

 

 

言いたないけどな、儲かるねん(笑) 

 

職人が減ってきてるってことは、分母が減ってきてるってこと。チャンスがあるから儲かりやすいんやな。

そりゃイチローやロナウドや、医者とかと比べたら儲からへんけどな、例えば勤めとって仕事が無くなっても、技術があるからすぐ次の仕事探せる状態ってのはあるな。 

 

けどやっぱりキツイ仕事やからな、嫌な時ももちろんある。

 

 

北さん:そういう時って、どうされるんですか?

 

 

嫌になれば嫌になるほど、思いっきり丁寧にやるねん。

めちゃくちゃ丁寧にやる。手をかけて手をかけて、結局赤字になんで。

でも、儲けられる大きな現場と、丁寧にやって営業にする現場とあって。 

 

 顔が見える仕事だったら黙らせたるくらい丁寧にやる。 

 

高かったって言われたら負けやと思って。得した感をお客さんに感じてもらったら、子や孫の代に帰ってくるかもしれへんやろ。

ウチもそうやった。おじいちゃんが丁寧な仕事してるから、仕事が巡ってきたりする。だから、自分の孫に仕事がくるような仕事をせなあかんなといつも思ってる。

 

 

田中さん流の仕事のしかた、そして新しい仕事のつくりかた。お客さんと職人さんがきちんと顔を合わせて仕事をするからこそ、良くも悪くも「あそこのあの人がやってくれた仕事や」「あの会社に仕事を頼むと間違いないよ」という噂が巡っていきます。仕事と仕事の関係に、きちんと人が介在する温かさは昔ながらのコミュニティが残る田舎らしさとも言えるかもしれません。だから、人に喜んでもらった分だけ、自分に「儲け」として対価が跳ね返ってきます。

 

 

 

 

Iターン・Uターン。地元の人はどう思ってる?

 

北さん:守さんは消防団として地域のコミュニティに強いつながりを持ちながら、移住者との関係も多いですよね。他に誰かそういう人っていますか?

 

 

うーん、おらへんなあ。地域の人と移住者の交流って言われると別にないかな。

 

 

北さん:何でだと思います?あと守さんは何で交流があるんですか?

 

 

交流があるのは、おもろいからかな。でも地元の人間はクールな目線で見てるよ。よそから入ってくる人に対して、~~ターンとかいう言葉自体に抵抗があると思う。

地方から都市部に仕事で出て行くのもIターンやろ?転勤とIターンの違いもわからん。 

 

ただ、僕はIターンに興味があるんや。例えば北くんはズケズケつっこんでくるから面白い(笑)

側から見たら自分てこうみえてんのかと思って面白かったんやな。そうやってつっこんできたら距離がぐっと近くなるやろ。

ヨソという話をするから遠慮するだけで。村の人たちもきっと拒絶しよう、排斥しようとしてるんじゃなくて、冷めてるだけ。ターンという言葉に距離があるんやと思う。

 

 

 

国の推進する地方創生の影響もあり、地方への移住が話題に上ることが増えた昨今ですが、田中さんは~~ターンという言葉に対して、地元の人が「冷めてる」という表現をされました。確かに、事実は仕事で転勤になった、住む場所を変えた、引っ越したというだけで、~~ターンという言葉は最近生まれた言葉だなと感じます。

地方に移住したものの、折り合いがつかず都市部に戻るという選択をした方の話も聞きますが、その中にはもしかすると、そういった新しい言葉を使って距離をとっているのは「Iターン・Uターン」だったという話もあるかもしれません。

 

 

例えば溝そうじとか、草刈りとか、他にも役がまわってきたら仕事もある。

華やかなもんだけええなって言って、やることやらんではやっぱりかなわん。

でも、村の方もIターンと関わるのを拒否してるとIターン村みたいなもんができてしまう。新興住宅街みたいなんがそんな感じやな。先にも言ったけど、地域の人たちは新しい言葉を使ってる事に対して「冷めてる」だけやと思う。

「ターンって何や」って。そういうの関係なくもっとつっこんで話に来てくれたら、きっと住まうという事に対して誰も拒絶せえへんと思う。

 

 

 

 

 

 

おもしろい場所、おもしろくない場所。田中さんの土地に対する考え方。

 

 

北さん:守さん的には丹波はおもしろい?

 

 

いやおもしろくないやろ(笑)

 

 

北さん:(笑) 住んでてどうですか?波があったりしますか?

 

 

そんなん変わらんよ。こっちが機嫌悪ければ、相手も機嫌悪くなる。まちはずっと変わらへんやん。いいと思ったら良くなるし、悪いと思ったら悪くなる。自分が機嫌良くここで住んでたら、このまちええわ、ってなるし、機嫌悪く見たら、このまち嫌いやってなるわ。 

 

コントロールできる。自分のハート次第や。 

 

環境変わって新しい場所に行ったら、そりゃ覚えなあかん事もようさんあるし、新しいことも多いかもしれへん。だから毎回毎回全力でやってたら疲れてまうから、どのポイントに力を入れればうまくいくかを考える。村との付き合い方も。そうやって自分が機嫌良くいれるようにコントロールしていく。

 

 

お話を聞いていて、田中さんには最初に聞いた仕事のやり方にも、村との付き合い方の中でも、芯の変わらないスタンスがあるんだなと感じさせられました。

 

嫌だ嫌だと考えて、それをマイナスで外に出すより、嫌な時こそ、自分が機嫌良く、どう相手に、仕事に、村に関われるかを考える。

 

そうすることで、そしてそれを続けていくことで、外部の要因は好転していつのまにかコントロールできるようになっていくんだなと。地元の目線でありながら、Iターン・Uターンを「おもろい」と言って時には一緒に何かをしたり、受け入れたり。田中さんのおかげで地域とつながりを持てた「ターン」の人たちも、丹波には数多くいます。田中建築板金さんではお仕事をしに来てくれる人も歓迎とのこと。移住を検討している方は、一度ぜひ、田中さんの元を訪ねてみてください。

 

 

北さん:最後に、守さんにとって仕事とは?

 

 

アソビかな。

 

 

 

 

第三弾は芦田ポートリー社長・芦田昭也さん。

全6回ma-no仕事事典とふるさと定住促進会議のコラボイベントは、2018年3月まで、毎週第二土曜に開催しています!

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