こんにちは！月曜日担当の中川ミミです。

私が住まいるバンクで家を購入して入居するまでのあれこれをご紹介する「中川、家を買う」シリーズ。今回は、物件を選んだ時のお話し。

この物件を選ぶに至った一連の流れをふりかえってみると「選ぶより前に選ばれた」という感じがしています。

古い日本家屋をDIYしながら暮らしたい…と思いながらも、本格的に物件を探すこともないまま賃貸に暮らし続けて約４年が経った昨年の秋。住まいるバンクで常時100軒ほど掲載されている物件情報も、自分の家探しとして見ていなかったなか、ふと目に留まったのが写真のチラシでした。街並みが大好きで仕事でも関わっているエリアにあること、憧れていた宿場風古民家であること、そして中庭の写真に魅かれて、見に行くことにしました。業務上、何かの参考にもなるし…位の感覚で。

そして迎えた当日、そこには所有者が。普段からご案内の際には管理や掃除で物件を訪れている所有者と鉢合わせすることがあるのですが、いざ経験してみるとちょっと驚いてしまった私。直接詳しくお話が聞けるのが嬉しい反面、緊張感もありお客様目線に立ち戻った瞬間でした。

古くて立派な梁や柱など構造体の重厚感に、宿場町らしい中庭や吹き抜けの雰囲気が相まった、建物そのものの趣はすぐにとても気に入りました。加えて、屋根と躯体は10年以上は持ちそうであること、浄化槽の工事が済んでいること、日当たりと風が通る角度から湿気対策も比較的容易そうであることをチェック。土間部分に水が浮いていることからシロアリの存在は覚悟がいるなと思いつつ、ほぼ即入居が出来そうな状態でお値段なんと280万円！という点に心が揺れます。しかし購入前提ではなかったため、他の人からの問い合わせがあることすら気にならず「もし興味があったら連絡する」と答えました。

すると数日後、不動産業者からの連絡で、所有者がぜひ私に買ってほしいと言っていると伝えられます。買い手を指名するなんて…驚いた私が理由を聞くと、内覧の時に手渡した名刺を持ってご近所さんに「聞き込み」をしたとのこと。所有者は90歳近いおばあさんで、一人暮らしに限界を感じ息子家族と同居するために空き家になったのが今回の物件。自分が去った後も家を大切にし、近隣住民とも上手く折り合い、地域にも迷惑が掛かることのない人に譲りたいと思っていたところ、私が同じ町内出身であることを知りご近所さんに相談。移住相談員であるという評判も聞きつけ、進言されたのでした。

これが「自分で選ぶより前に選ばれた」瞬間だったのですが、嬉しい反面、ここでもちょっとドキリとした私。名指しで買ってほしいと言われるのは一見すると美談のようですが、私には「あなたなら変なことはしない（できない！？）だろう」と言われているようにも聞こえました。伝えられたこれらの言葉には、同時に別の真意が垣間見える気がしたのです。
・地元で家族が代々商売もしていて本人も市の委託を受けている人
→私の言動や信頼は、場合によっては実家や家業へのそれにも影響が出る？
・お隣さんの息子と同級生で小さいころから良く知っているから彼女なら安心
→小さいころと大人になった事情が違うはずだけど、何が期待されているのか？
・小さなお子さんがいて自治会に入ってもらえたら嬉しい
→自治会活動がある土日に仕事のことが多い私たち夫婦には荷が重かったらどうしよう？

歓迎されるのはありがたいことであると同時に、場合によっては、Uターン移住者ならではのしがらみとか、面倒な住民間の関係性と捉える人もいるかもしれません。選んでもらえる権利を享受すると同時に、地域の一端を担うという責任がセットになっている。地元に戻ったり移住したりして、不動産を所有し、人の繋がりの中で生活をするとき、地域から期待されることは人によってさまざま。この後の自治会マッチングでしっかり話を伺おうと思った瞬間でもありました。

ここまで話すと、それって重くない？という質問が聞こえてくるようです。実は私、そういう関係性を求めてこの集落を選んだ一面も。その辺りのお話しは、また次回。

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たんば”移充”テラス　中川ミミ（41）

【プロフィール】
エチオピア生まれ丹波市青垣町育ち。世界各地で学び働き暮らして、2015年から再び丹波。仕事にも子育てにも、妥協しない！と日々奮闘中。一般社団法人Be 代表理事。

【ミミより情報】
ちなみにタイトル、シリーズと分かりやすくするために略してみました。設計士から送られてくる資料もミミ邸となってるし、苗字にすると別物だしということで。